今だ!

日々

大切

好きだからずっとそばにいたいと思うね。ずっとそばにいるからこそぶつかる確率も高くなる。大切な人だから一緒に時間を過ごそうなんて思うよね。そうすると一緒にいてつまらないと思う瞬間ができたりする。このことは何も対人関係に限ったものではない。ずっと気に入って使っている身の回りのもの。例えばお気に入りのバッグがあるね。使う頻度が高いからいつもお出かけのときは決まってそれだね。とても満足していてとても大切に思っている。だから大事に扱っているんだけれど、この間思わぬ雨でバッグを濡らしてしまった。その濡れたシミがなかなか取れなくてとてもがっかりしている。皮肉なことにその日に限って初めは別のバッグにしようと思っていたんだけれど、荷物の量がそれほどでもなかったので急遽大好きなバッグに変えてしまったんだよね。その結果がこのありさま。しかも初めに持っていこうと思っていたバッグは機能性に優れていてしかも防水仕様だったというオチだ。

愛という名の悪魔

大切だから、好きだからいつも一緒にいる。そうするとその大切な人を一番傷つけたり壊したりする犯人となる可能性が高いのはあなたとなるね。残念ながらそばにいるということはそういうことなんだよ。恋焦がれてずっとそばにいたいとか手元においておきたいという思いが叶ったがために、それと同時に最悪のパートナーとなる覚悟も同時に生まれたということ。だからそういう思いは少し控えめがちょうどいいね。付かず離れずで一定の距離をおいて長く付き合っていくと一番楽しい時間が長いというのが先人の教えだね。何かにこだわるのも叶いそうで叶わないぐらいが一番良い感じなんだよ。大切な人だからって溺愛しすぎると悲劇の破局までアクセル全開だね。良いものだからといって独り占めにしていると、すぐに壊れて悲しみに見舞われる。いいな、と思っても、少し離れて見ているぐらいが幸せになれてちょうどいい。でもあなたは欲張りだからすべてを知りつくし、手にできないと気がすまない。その欲望が生まれた瞬間には、あなたの心に悪魔が住み着いた瞬間でもあるね。

虚空の手

素敵な人が欲しい。お金が欲しい。良いバッグが欲しい。地位や名誉が欲しい。欲しいだけではなくできるだけ独り占めにしたい。自分探しも結局のところ同じ欲望だね。わたしがわたしを探すなんていうのはわたしがスペシャルなわたしに違いないという前提がないと成立しない。もちろんありきたりの地位や名誉なんかじゃないかもしれない。それでも個性的な人として、もしくは価値あるわたしを探している。でも、身も蓋もない言い方をすればそんなわたしはハナからいない。いないから探せるんだよね。居たらすぐに見つかって終わりだ。この世に夢も希望もないのかというのは嘘で、夢や希望だけが渦巻いていて実はそれ以外はなにもない。過去は今つくられた捏造品だし、未来なんて誰にもわからない夢物語。今なにもない世界であなたはそこにいる。それだけで十分なのについつい独り占めしようとする欲望ですべてが台無しになっている。今を感じて今と戯れるだけでこれ以上の幸せはない世界で、あなたはうつむいたまま悪夢を見ているようなものだよ。