知ること

日々

調合

色を調合しようとして絵の具を色々混ぜてしまうとその原理からだんだん黒ずんでしまう。でもそのことさえ知っていればうまい具合に思っていた色ができたりして楽しいね。ところがようやくできたその色をキャンバスに塗ってみるとまた違った色になってしまう。とかく色の世界はとっても奥深いね。でも結局は長年の経験と勘で体得していくしかないね。印刷工場でも基本はシアン・マゼンダ・イエローときて最後に墨と呼ばれる黒を乗せる。原理的にはシアン・マゼンダ・イエローがうまく混ざりあったら黒くなるはずなんだけれど、それを別の版にしてくっきり鮮明にしているわけだね。スマホやパソコンのモニターならば赤・緑・青のRGBという三原色で同じように表現されているけれど、紙に印刷するそれとは違う方法だね。光は絵の具と違って混ぜるとだんだん白くなってしまうわけだから、一番苦手な表現は黒ということになる。

インクのシミ

普段新聞や雑誌などの印刷物を見ているあなたは、文字という紙についたインクのシミを読み取っているね。全く違う言語の国の人から見るとまるで魔法のように見えるね。まるで暗号を解読しているが如く読み解くことができる。ところが、最近は紙のついたインクのシミを読み解くことは少なくなり、スマホの画面で液晶のシミを眺めている。これも先の原理と同じだけれども、光の点滅がない部分を文字として捉えて解読しているんだけれど、どうやら紙のそれと画面のそれとは脳の処理が異なるみたい。デジタルな時代だけれども、一旦紙に印刷してからでないと文字の中身が読み解けないという人が多いように、デジタルはやっぱり記号という役目以上を伝えるのが苦手でどうやら図形としての文字という認識で処理してしまう傾向にあるみたいね。だからスマホのSNSでは長文を表示させないのは理にかなっていたりする。画面の文字の量が多いか少ないかとして見てしまう傾向にあるから、それ以上の文脈を読み解くには、紙に手書きされた文字を見つめている方が内容が頭に入ってきやすい。

記事

こうしてデジタルでこの記事は書かれている。文章を紙と筆ではなくてキーボードと画面で綴られている。デジタルは紙と筆のメタファーだからそれと同じようなことを光の点滅と計算で再現しているわけだね。ここに映し出されている文字のカタチはフォントと呼ばれる任意のカタチで表示されている。あなたの環境はすべての環境ではないから、文字が明朝体になっていたりゴシック体になっていたり、他国の人からみれば文字化けして表示されているのかもしれない。そして世界中の情報はほとんどがデジタル化されて一瞬にして駆け巡っている。ところが、なぜか一方的な情報しか入ってこないようだね。デジタルで駆け巡る情報は瞬間的に伝わるため、逆に言えばコントロールしようと思えばうまくやれるのが今の時代だね。現地の友人が思いをしたためた手紙は、到着さえ怪しいけれど歴史的な資料になる可能性が高い。紙についたインクのシミが後世を揺るがす発見となるのは、文字が伝えるそれは情報という分類を超えた何かがあるからだね。あなたが知ることで初めてそれは命が芽吹き、知らないままだとこの世にまだ存在しないことになるんだからね。