豊かさの終焉
スピード
現代はスピードを重視される時代だね。じっくりゆっくりでも同じことができるようになったらそれでいいはずなんだけれど、それではライバルに勝てないという理屈で常に急かされて生きている。顔を合わせたらスピードアップが合言葉のようになり、ゆっくりマイペースでなんて言い訳は通用しない。すべてがレースでありコンマ1秒でも早くできたものが市場を制すると言われている。そのせいか親も子どもに一番に言う言葉が「早くしなさい」という世知辛い世の中。そんなに焦らずにゆっくり過ごすことが悪になった時代は、ムダにスピードアップして効率を上げて環境を破壊している。逆にそれほど急がなくてもいいと決めてレースから降りたら、全く違う時間がそこに流れていることを知る。なんでもそうだけれど真っ只中にいると自分が何をしているのかよく見えない。少しそこから距離をとると何が起こっているのかがわかるね。
努力・気合・根性
頑張れ頑張れ、負けないように頑張れと急き立てられて生きている。努力は裏切らないとまやかしの言葉をかけて、休むことをさせない。人が寝ているときにどれだけアドバンテージが取れるかで勝敗は決まるんだから、気を抜いている時間はない。そうすると身体は疲れてしまうかもしれないけれど、それは幻想だと言われる。体調を崩して病気になるなんて責任感がないからそうなるんだ、と叱られてグズグズと寝ている場合ではなく、根性があるならすぐに現場に復帰しろと言われる。今ではそんなことは意識潮流からよくないこととされているが、現場の上司の本音は障害の一つとして未だに見ているだろうね。だって今は究極にムダを省いた効率化で、一人でも欠けたら残った人の負荷がその分重くなるという体制でしかないからね。それを快く受け入れてくれるような状況ではない。
終焉
それがもうすぐ終わるね。がむしゃらに働いて豊かになってきたけれど、それは一時的な満足であって持続的な幸福ではない。地球のリズムとしても前倒しになって今はスピードアップもがむしゃらもやろうと思えばできるけれど、それに見合うリターンは少ない。モノがない時代はモノを大量に生産して豊かになろうとした。今はモノは潤沢にあって、生きるのに必要なものを営業して売るという時代は終わったね。テレビショッピングやネット通販ではいかに要らないものを売るかが勝負になっている。だから基本モノは余っているね。それでも何かが不足するとなると大騒ぎして買い占めや転売という行為に走ってしまう。それがうまくいけばシメシメと思っているのかもしれないけれど、その分なにかしっぺ返しが待っているかもしれないね。人生に勝敗はなく死ぬ前まで暫定得点が見え隠れするだけなんだからもっとゆったり生きるのもいいと思うよ。