あともう少し
時期
絶妙な時期をいつも探って時期を逃してしまうことばかり繰り返していないかな。時期を見極めるというのは、たとえばタイミングを測るぐらいの短期間での調整と違って、数日以上の単位でもってやりたいことを先延ばしにしている。それはそもそもうまくはいかないね。今じゃないと言い聞かせることがほとんどで、その説得力もそれほど強いものではない。おそらくやりたいことを先延ばしする言い訳を考えること自体が楽しみに変わってしまっている状態だね。驚くことにそれでほとんどの人は納得していたり満足している。それは、やりたいことをやらないで先送りにする理由を見つけるという行為自体がすでに完結しているからだね。それである日その理由が見つからなくなったら、やりたいことをやるのではなくて別のやりたいことをでっち上げてまたぼやくネタにするというわけだ。
叶わない
そういうやりたいことに対して準備をするところから実はすべては始まるね。旅行に行きたいと思ってとりあえず現地の情報を調べたり、地図を見たり、交通手段を選んだりしながらあれやこれやと思案する。欲しい物があれば、それがどれほどの値段のものかを確認して、そのための資金をどう集めるかを銀行口座を眺めながらやりくりしたりする。人によってはそれが一番楽しいことで、旅行に実際に行ったことや欲しい物をようやく手にした瞬間から、もうすでに次のやりたいことを考え始めていたりする。本当のところを言えば、やりたいけれどやれない状況っていうのが一番幸せな状態であって、達成してしまうと急速にその幸せは衰えることを知っている。だからこそ、やりたいことをやらないようになってしまうわけだね。
充実した不足
あともう少しで達成する一歩手前で立ち止まる。その間が実は一番もどかしく幸せでなぜか充足した状態となる。だからなんでもすぐに簡単に叶う人生よりもちょっと足りないぐらいを実は望んでいるわけだね。生きることが大変でそんな妄想すら抱く余裕がないという状態から一歩改善されて、少しだけ贅沢を言える状態になれること。実はそこが一番の幸福のピークで、さらにそれ以上を求めて何でもできるようになると途端に何をやってもそのピークを超えることができないジレンマに陥るわけだ。そしてそれは他人と比べるともっとおかしなことになるわけで、あなたの幸せが他人の幸せにすり替わってしまう。そうなった結果は答え合わせをしなくても、どれだけ豪華で贅沢になったとしても、あともう少しというかつての感覚は得られないのは言うまでもないね。