舞台裏
淡々
日々の暮らしを淡々とこなしている。本当は毎日がスペシャルな日なんだけれども、そんなこと微塵にも感じさせないぐらいに静かに過ごしている。そうやっていつもと同じようにしているにも関わらず、相変わらず季節は移ろい、状況は刻々と変化している。ただ何事もない毎日を重ねていきたいだけなのに、あなたの意図しない状況が勝手に変わっていくね。その変化は時にはあなたに好都合のときもあるけれども、大抵は大歓迎とはいかないことが多い。ならばとあなたからアクションを起こして変えようとしてみたところで、今度は何ひとつ思ったとおりにはならないことがほとんどだね。でもまぁ、そういうものだと思う癖がついてしまったので、すべてまるごと受け入れている。まるで春から夏に季節が変わるぐらいにしか思っていない。
深刻
たまにのっぴきならないことが起きたりする。さすがのあなたもちょっと困ってしまうね。それをどうにかしないといけないというふうに思っているとだんたん憂鬱になってくる。ただそういうのもなんとかなるだろうと思っているとたいていなんとかなってきたね。今度ばかりはなんともならないか、なんて思っているけれども少し時間が経てばそういえばそんなこともあったなと振り返っている。そこでなんともならないとしたらそこまでだろうし、なんとかなったならもう忘れている。それがどうやらこの世の仕組みみたいだ。どっちを選ぶと言われたら焦ってしまうけれども、特にどっちを選んだとしても、実はその選択肢があるようにみせかけているだけですでに決まっているわけだ。その真実に気がついたらどんなことが起きても静かに笑っていられる。それを達観とか諦観とかと主張したりするのは自由だけれども、それほどたいそうなことでもないね。
虚構
人生というのは、あなたがそこにあたかも生きているという嘘を並び立ててできている。それを見抜けばあとは楽になる。だからといって何もする気が起きないとか、投げやりになるとか、そういうふうになるわけがない。本当のところがわかると、実はわかったというのもフリでしかないことを知るからだね。すべてはまれに見る奇跡でできていて、一つ一つの出来事や悩ましいことがあなたのためだけにあつらえられてそこにある。それらに対して愛おしく思わないわけがない。ところが中途半端に知ったかぶりをしてしまうと、なんだか虚しいだけの人生だと世を儚んだふうを演じて、センチメンタルな世界の悲劇の主人公になる。その目的はずばり「そんなわたしはかっこいい」と思われたいがためだけ。それが心地いいのならそれでいいけれども、客席に誰もいなければあなたのその思いは遂げられないかもしれないね。