歩き方
無意識
普段何気なく歩いたり走ったりしているね。もちろん色々と仕事の事とか、家庭のこととか、買い物のこととか、他のこともいつものように気になりながらね。あなたはいろんなことを同時にやってのけている。でもその実際はメインタスクは一つだね。旅先での見知らぬ土地を歩いていると、地図を見たり、ネットで見た店構えを確認したり、写真の裏側はこんな景色になっているんだ、などあなたが見たいところを見ている。そんなときあなたは歩き方を気にしたりはしない。行きたいように歩いて移動している。あなたのそこでの顕在意識は確かめたい、触れてみたい、見てみたいということがメインタスクだからそれ以外に意識を向けることはない。
捻挫
そんなふうにあっちへフラフラ、こっちへフラフラしながらも旅先の風景を楽しんでいたら、ちょっと段差があって足を思わぬ方向にくじいてしまった。その瞬間あなたのメインタスクはそれどころじゃなくなる。今まで特に意識をしなかった足へと全集中するわけだ。それほどひどくないかな、それとも後で痛くなるかな、ちょっとここで休んだほうがいいかな、それとも少しぐらいは続けられるかな、などと様子を見ている。結果、捻挫もひどくなく少し休めば復活することがわかったとき、また今度は次の行きたい場所へどうやって行くかの算段をしているね。良かった、どうやら旅は続行できそうだ。けれども普段から足元には気をつけて歩こうと決めたね。
そこに在る
そこからは、足元もしっかり確認しつつも、名所を散策再開だ。はじめはおそらくどうやって歩いていたかなど、気にもしなかったはずなのに、今は意識が半々に分割されている。足という主人公が突然現れて、景色ばかり見るんじゃないと注意されたわけだ。さらに少しの痛みがあなたの意識を覚醒させたね。これがひどくて旅を中断せざるを得ないとき、あなたは最悪だと愚痴をこぼしていたかもしれない。けれどもそもそもどちらであってもあなたはそこにいる。それだけで目的のほとんどは実現している。その捻挫が歩くという何気なくやっている無意識の行動に意識を向けたわけだ。意識を向けた途端にあなたが起動したけれど、その前はどこにいたんだろうね。