静寂

日々

レベルアップ

ロールプレイングゲームでも、最初は雑魚キャラでモンスターと戦い勝つことでレベルが上がっていく仕組みだね。そうしてレベルが上がれば武器や装備や魔法がレベルアップしてさらに強い敵と戦っても勝つ力を手にする。そのためには繰り返し戦う必要があるのだけれども、多くのゲーマーはそれを厭わない。もちろんちょっとずるして最強に鍛え上げられたキャラをお金で手に入れるということもできるけれども、そのチートは特にオンラインゲームではタブーとなっている場合が多い。ま、自分ちのゲーム機の中に保存されている、兄貴がせっせと膨大な時間を費やして育てたキャラを使ってらくらくゲームを進めることについては誰にも咎められない。兄貴に怒られる以外は。

ラスボス

それでもゲームには終わりが設定されていて、とてつもなく強くなったらラスボスに挑むわけだ。そのラスボスを首尾よく倒せたならば一旦はエンドロールとなるわけだね。そうやってキャラをレベルアップさせることに、自分自身を重ね合わせているから、ゲームの虜になるわけだ。現実社会はこれをやったらこれだけレベルアップができる、なんていうわかりやすい指標はなにもないし、今やっていることが将来何の役に立つのかもたいていはわからない。だからどこをどう頑張ったらそうなるかという攻略法があいまいだね。もちろん、いろんな成功事例はメディアに出ているんだけれども、実際はどれもこれも育ってきた環境すら違うことが多いので参考にはならないことが多い。RPGの良さは目的と手段が明確にわかっているところだね。それさえあれば現実社会であってもそこそこ勝てる気がしている。

掴んだもの

そうやって掴んだものがだんだん増えてくると、溢れてきて何かを捨てないと持てないようにもなっている。そこがゲームの肝でもあって、何を装備して何を捨てるのかというところは慎重になる。おそらくそれは実際の人生のアナロジーでもあって、これまで獲得したものを全部抱え続けるわけにはいかないことを示唆しているね。手に武器を持ち続けたら新しい武器は使えないし、手に宝石を握りしめていたら戦う武器は持てない。片手に盾を持ったならば、両手で使う武器は持てない。何かを得たら何を捨てないといけないわけだ。そうしてどんどん変えていくことがゲームクリアのコツだね。現実でも実は同じで、周りをみればすべてが循環している。息を吸うばっかりでは苦しいから吐くと楽になる。花は季節ごとに美しく咲くけれども、枯れないとまた咲くことはできない。ずるをしたら不快な気持ちが襲いかかってきていまいち楽しめない。ゲーム機の電源を切ったら静寂が訪れる。ということは人生も手にしたものがゼロになれば静寂が訪れるのだろうね。