バーの片隅で
酒席
気に入ったウィスキーがそこにあって、気に入らない会話が目の前で繰り広げられている。せっかくの楽しみである酒場が一瞬にして日常に引き戻された。でもお酒には罪はないし、いつものように美味しい。それを台無しにするのが気に食わない言い方をする人間だ。でも、その感情と印象に引きずられたらせっかくの変わらぬお酒がまずくなる。だから道化師になっておちゃらけてお笑いに変えようとしているね。不愉快な話は酒の席には似合わない。楽しく飲むのがお酒の醍醐味でもあるし、本来の持ち味を堪能できるからね。そんなこんなで人間関係をその都度調整するのは、正直面倒にも感じる。早くAIロボットと杯を酌み交わすことができる時代にならないかなと思ったりする。
喜劇
どっちが優れているとか自慢大会とか、あいつにはほとほと困っているとか色々と愚痴を聞かされる。それが酒のつまみに適切かどうかは唯一つのポイントで決まる。そのポイントは「リスペクト」だね。どんなことにもまずは尊重があり、そこから謙虚さが生まれている。それがあるかどうかが行き過ぎかどうかの基準になる。容姿を卑下したり、能力をバカにしたり、激しい言葉でもそれがあれば、それほど不快な雰囲気にはならない。もちろん、それ以外のおもしろ話があればそれに越したことはないけれどね。だからあなたはそんな話を持ちかけたり、乗ったりしない。お酒そのものを楽しみたいから、ふんふん独り鼻歌でも歌っているわけだ。
奇跡
お酒の飲み過ぎには禁物だね。あなたを狂わせるほどの魅力が詰まった魔法の飲み物だから、そこは注意しないといけない。お酒に飲まれてしまうと、それまでのせっかくの美味しさががっかりな気持ち悪さに変わってしまう。琥珀色のウィスキーを眺めながらそれを仕込んだ歴史を楽しもう。昨日今日でそれはできないことは知っているだろう。もしかしたらあなたと同じ年齢かもしれない。それに出会えるのは運命のような奇跡だね。ずっと静かに眠ったそれは、初めてあなたと今出会っている。そんな逢瀬に下世話な会話は遠慮いただきたいね。できれば知己と静かに奇跡を楽しみたいだけなんだよ。さて、次は何にする?