重い鎧でヨロヨロ

色々

俺様ジャイアン

生まれた時から競争社会。成績や貧富や階級や肩書などで比べられる。すべては成果。他人に秀でる何かを求めて人々は競い合う状況に生み落とされた。だから勝ち残ったものが生きながらえる。そんな世知辛い世の中。人を見たら敵と思って、心の底から無条件に信用するなんてできるはずもない。弱みを見せると足元を救われる。まさに俺様理論。こんな世の中に誰がしたと嘆きつつも、今日も非常事態宣言中。せっせとレベル上げて最強アイテムをゲットだぜ。

あいつは成功者

自分にとって損か得かでしか見てない。旧来の友人でさえ、全幅の信頼をおくわけにはいかない。ほとんど信頼はしているが時たま嫌なことも言う。だからいつもいつも笑顔の裏には注意深さを手放すことはできない。気を抜くとすぐにやられてしまうからね。

そこにあるのは

得たものは失わないように。たとえうまくいっていても安心してはいけない。たとえ成功していても慢心してはならない。ひと時も気を抜けない。張り詰めた緊張の糸は常にじりじりとしたきな臭さを帯びて、いつも疲れた目をしてそこにいる。でも一方で安心しきって人をそんな目でみていない奴がいる。チャンス到来。獲物を狙う野獣のように虎視淡々とその機会を待っている。

今にみてろ

思うようにいかない。俺はまだ本気出してない。今にみてろと呟きながら苦い涙を噛み締める。その悔しさだけがすべての原動力になる。そうして得られたわずかな差を自分のホコリとして胸に紋章を貼る。その紋章の数を生きる勇気に変えて、次の紋章を探している。なぜその戦いに巻き込まれるのか。それは少しでも安心して生きたいと思うから。安心できる幸せを求めるがゆえに、気を抜いている奴から奪い取るのさ。油断大敵。競争社会の鉄則でありこれが掟なの。

一難去って、また一難

戦い続けてようやく手に入れた幸せも、何故だかまた危機に瀕する。いつまで経ってもほっと一息できない。いつになったら安心して幸せに生きられるのか。もうダメだ、ゲームオーバーだ。そう思ったらなんだか急に求めていた安心が訪れた。ああ。最初からこれでよかったんだ。何に対して戦っていたのだろう。そうしてまた今日もかつての自分が虎視淡々と奪いにやってきた。ウェルカムだ。どうぞあるだけ持っていっていいよと言うとなんだか穏やかな時間がそこに流れたような気がした。苦しいと思っていた原因が奪い合いだったわけだ。どうして気がつかなかったのだろう。目隠しされていて見えなくなっていたのは誰の仕業かな。

いまさらながらわかったことは、安心や幸せは奪い合うものじゃなくて、ずっと前からここにあったんだねぇ。レベル上げと最強アイテムという鎧なんかどこにもなかった。さぁ、そのゲームの電源を切って晩ご飯たべようっと。