生命のはざま

日々

木っ端微塵

一つの塊がなにかの拍子にバラバラになることは知っているね。いつも食べている大きな唐揚げも、まずは口の中に入れてもぐもぐと噛み砕いて飲み込む。その後のことはあまりよくわかってないけれども、どうやらさらに小さくして体の中に栄養として取りこめるぐらいに小さくしているみたいね。もちろんそれは実際に体感しているわけではなく、誰かから習った知識でしかない。けれども、これまでそれになんの疑問もなく食べてきたわけで、どうなのかわからないけれどもそうやって食べてきたから今があると信じている。食べることはそれぐらい大切なことの世界の中にあなたはいるわけだ。食べるという行為は大きな塊を木っ端微塵にして取り込んでいることに含まれるね。

小さいあなた

野生の動物の世界では、食う食われるという関係があるようだ。小さな動物は大きな動物に食べられる。あなたが食べている唐揚げももとはニワトリだね。ニワトリを食べることでニワトリがあなたの一部として取り込まれてあなたはあなたでいられるというわけだ。もちろんニワトリだけでなく、ウシもブタも好きだし、海でいえばマグロやブリやサバなんかも好んで食べている。そうやって動物として生まれた以上、なにか小さな生き物を自らに取り込んでしか行きていけない仕組みになっている。野生の世界では、あなたもその食う食われるの食物連鎖からは逃れられない。おそらくライオンとかワニとかにとっては食べる対象になっているだろうね。万が一それで食べられたとしたら、そこであなたは細かくバラバラにしてそれらの動物の一部となるに違いないね。

自慢の個性

そうなると普段から孤高でいい人であるあなたはどこに消えてしまうんだろう。万が一ジャングルクルーズ中に不慮の事故で大型動物に食べられたとしても、あなたは個体としての存在はなくなるけれども宇宙の栄養分というか生命としてはまさに連鎖しているわけだ。多くの人は誰にも食べられずに死んでしまい、荼毘に付されて自身を構成している元素が酸化し、空気中に二酸化炭素として放出され、残りは炭と骨になって地球に還るわけだ。もちろんそれでも地球規模でいえばプラスマイナスゼロで何も消えたりしていない。あなたの個性はまさに地球や宇宙規模ではずっとそこにあったのだろうし、ずっとそこになかったとも言えるわけだ。食べられてはいない今でさえ、あなたを小さく分解していったとしてどこまでがあなたで、それ以上は単なる物質なのかの境界線は、結局あるようでないね。