そもそもなにもない

日々

解決しない

とっても大きな問題が起きてしまいました。真面目なあなたはそれをなんとか解決しようとあれやこれやと試してみるね。ところがどれもこれもすっきりと解消できそうにない。だからその中でも最善策を探し求めるわけだ。一番良い方法はないかとね。そういう一連の思考の流れに何ら疑問は持たない。なぜならそうやって対処するようにこれまで訓練されてきたからだ。また一つ問題を乗り越えたとき、あなたは一歩前に進むことができると信じている。それがあなたの成長だと言われ続けている。さて、本当にそうなのだろうか。その大きな問題という困難から逃れずに、真正面から挑み、傷つきながらもそれを乗り越え素晴らしいあなたがそこに出現するというストーリーはそもそも誰が書いたものなのだろうね。

消滅

結論から言うと、大変な問題だと思っている犯人はあなただ。いやいや、一般的にも大変なんだよとあなたは言うだろうけれども、その根拠はまわりの知り合いや友人から労いや同情の声でしかないだろう。ましてや同じ境遇の人が同時に無数に生まれているとしても、あなたの問題はそんなことはどうでもいいよね。とにかくあなたが抱える問題はそんじょそこらのものとはわけが違うって思い込んでいる。それがわからないのなら友達じゃないとまで言う。そのとき、その大変な問題はもうあなたそのものになってしまっている。ほら、やっぱりその大変な問題とやらはすっかりあなたと同化することで大変な問題として君臨し続けるっていうわけだよ。あなたがそれと同化しなければ、すなわちいつもの他人事はスルーできる能力を発揮すれば、解決すら必要もなく消滅する。そう、はじめからなにもなかったかのようにね。

元通り

本来何もないこの世界に、あなたがいろんなものと同化することでいろんなことが起こるかのように演出している。それらをなんとかするにはまずはあなたがあなたでなくなればいい。そんなこと無理に決まっていると思っているかもしれない。けれども現代社会ではそれほど難しくないね。例えばあなたは別のキャラクターになってみよう。最近ではSNSで捨て垢とか裏垢とか呼ばれるそれが一番わかりやすいかな。ようするに「いい人」ぶって「嫌われたくない」あなたが本垢だとすれば、毒を吐いたり炎上するような悪口を言える別人格を装うもうひとりのあなたをそこに作り出すことができるね。不思議なことにそうすると誰に何を言われてもそれはあなたへのものではないと切り離されているからなんとも思わないわけだ。すべてあなたへ投げつけられたものではないから冷静でいられる。でもあなたが騒いでいる問題は、実はそれが本来の姿なんだよ。そもそも何も問題はなかったわけだ。