グレーなあなた
終わり始まり
何かが始まるには、何かが終わらなければならない。一度生まれたならばすくすくと成長してどんどん変わっていき、やがて死んでしまうようにね。誰もが最初はビギナーだけれども、それを継続していくといつの間にかビギナーだと言い続けられないときが必ずやってくる。美味しいご飯を食べていると、必ずごちそうさまと言わなければならない。その時はとても幸せに満ちあふれているけれども、食べなければそれが維持できないし、食べすすめるといずれなくなってしまう。そういういっときの儚さを感じるときが至福の瞬間だね。その体験からずっと幸せでいることは難しいと感じるわけだ。だからといって幸せなとき以外はすべて不幸だと決めつけるのもおかしな話だね。恋人と一緒に過ごす時間はとても幸せだけれども、一人になったら不幸になるなんていう考えは不要だ。一緒にいるととても幸せだし、一人のときもいつものように幸せであるはずなんだからね。
白黒
コインのように表があれば裏があるように、始まりと終わりとか、幸せと不幸とか、二人か一人とかそういうふうに振り切って理解する癖をいつの間にか受け入れている。でも実はその間が生きることそのものなんだ。概念的には表と裏しかないと考えがちだけれども、三次元に暮らすあなたにはその間にある程度の厚さがある。白と黒を混ぜ合わせるとグレーという中間色があるようにね。赤や青も同じこと。本当は言葉で定義されていない色があなたの周りには満ち溢れているんだけれども、あなたはそれらをまとめて赤とか青とかと呼んでいる。幸せも不幸も同じように、良いことは幸せ、悪いことは不幸なんて簡単な話ではないはずなんだけれども、最上級の幸せを求めるがあまりにそれ以外はひっくるめて不幸だと定義しているだけだね。その方が簡単だからそうしているだけで、丁寧に物事を見るようになると多くの気付きがそこにはあるはずだ。
生死
生きているのかそうでないのかも実はよくわからない間のところにあなたはいる。生きているとしっかりと定義したところで死んでいることは想像すらできない。同じようにお金が沢山あって、豊かに暮らし、好きな人と一緒にいられることが幸せだと思いこんでいるけれども、そうでなくても楽しいことはたくさんある。でもそればかりを求めるがあまりに、それ以外は取るに足りないことだとまとめて放り投げている。いわばとても乱暴な分類が正しいと思っていること自体が滑稽だね。そう、あなたは極端な世界を自ら構築して、そこを生きようとしているからハードモードになっているだけなんだよ。世界の素晴らしさはそうではなく、その中間のグラデーションが言葉にもできないし表現すら追いつかないぐらいに無数に広がっていることだ。実際あなたとそれ以外を分かつ境界線もあるようで、実はぼんやりとしたものでしかない。嘘だと思ったらあなたとそれ以外を分けている境目を探してみるといいよ。そこには宇宙が広がっていることをきっと見出すだろう。