あなたは何者
資質
あなたはあなたという個性を大切にするどころか、むしろ蔑ろにして生きている。多くの場合他と違う才能や個性をコンプレックスに思っている場合が多い。ドラマの主役のような容姿端麗でもないし、世界を驚かせる抜群の身体能力もない。幼い頃から勉強も得意ではなかったし、部屋をきれいに片付けることすら面倒に思ってしまう。とにかくだらしなく生きられるのならば、ずっとそのままでいたいぐらいだ。もちろん、そんなことを魅力だと誰かに言う勇気もない。だからいつも若作りして、少しでもよく見られようと全集中しているし、人に嫌な人だとばれないようにいつもハラハラして一挙手一投足に気を遣っている。そりゃ自ずと人生はハードモードになるよね。技術も能力も見かけも自慢できることは何一つない。その小さな世界に閉じ込められて、今もその監獄から外へ出ることすら憂鬱になっている。
素性
でも、あなたには魅力がいっぱい詰まっている。それは誰かをお手本にしようとしているから苦しいだけで、あなたがあなたが思うように生きる方針へ転換した瞬間に訪れる。だからといって悪態をついたり、ワガママになったり、傍若無人に振る舞えば良いのかというそんな稚拙な話ではない。本当にそれが楽しいのならすでにそうなっているはずだ。そうなっていないからこそ、人の目や世間の基準になんとか合わせようとしているのだからね。でもそれが行き過ぎるとあなたには足りないものばかりに目がいってしまって、もともと持っている魅力を発見することが難しくなってしまう。足りないものを探したり、こうあるべきだとマスコミが喧伝していることから少し距離を置いて、あなたの素性をまずは見つめる練習からしたほうが良い。なぜ練習が必要かというと、もともともっている良きところをわざと見えなくするように、教育され続けてきたせいだね。そのせいで、一番苦手なのは自己分析になってしまっている。
一寸の虫
幼い頃は虫は不思議な生き物で、特に怯えたりすることはなかった。ところがある程度成長するに従って、今は小さな虫でも部屋に紛れ込んでしまうと、気が気でなくなってしまう。本来は多くの小さな生命とともに、まさに共生していたはずだね。ところが大人になるにつれて、小さな生き物が身近にいることすら恐怖に変わる。冷静に考えて、里山にはたぬきもきつねもイノシシも蛇もいた。ところが、今は徹底的に駆除して犬と猫だけが許される小さな生命となった。近頃では目に見えない細菌やウィルスも撲滅させたいと心から願っている。あなたも生命の一部であり、あなたの体の中には無数の細菌がいて、うまく共生しているから生きていけるというのにね。究極的にはあなたは確実に小さな生き物からすると悪魔になっている。たかが虫が数匹いたところで何かが変わるわけでもない。それなのに、もはやあなたはその存在すら受け入れられないようになっている。これは都会ではよくあることだけれども、生命の歴史でいうと異常事態なのは間違いないね。まぁ、それだけあなたはあなた自身すら何者であるかを忘れてしまっているから気をつけてね。