ツケは払うもの
ツケとカケ売り
最近はツケがきくお店も少なくなって、いつもニコニコ現金払いのところが多くなったねぇ、何ていうことも、もはや一昔前になってしまった。今はバーコードやQRコードのように二次元の記号を見せて支払える二次元決済もあるし、携帯料金と一緒に払うキャリア決済もあるし、クレジットを電子決済化するiDとかQUICKPayとかいろんな支払い方法があるね。だからお店の帳簿に文字通りツケておいて、月末やある時払いなんていう時代ではなくなったわけだ。クレジットカードやキャリア決済はある意味ツケ払いに似ているとも言えるけれども、どちらかというと支払いサイトを月末締めの翌月末や指定日払いにした、カケ売りの制度だね。これは未だに商慣習的に、特に企業間取引では都度払いなんて面倒なので多くの場合はそうなっている。
ツケが回る
江戸時代なんかは、宵越しの銭は持たない、なんて言う言葉があるように、年末にその年の精算をしていたようだね。年末締めの翌年末払というとても長い支払いサイトだ。それだけ信用取引が普通だった時代でもある。そしてそのツケは必ず払うのが来年のための条件であり、したがって普段から考えもなしに無駄遣いすることもなかったようだ。ところが現代ではクレジットカードなんていう打ち出の小槌は、使いすぎると危ないという意味でまだまだ敬遠している人も多いみたいね。現金だと、手元にいくらあってどれぐらい使えるかをいつも肌感でつかむことができる。ところが触れもしない電子帳簿に何にどれぐらい買ったかなんてツケられたところで実感がなさすぎて限度額いっぱいまでつかってしまうらしい。もちろん、生かさず殺さずじゃないけれども限度額までつかってギリギリ毎月の金利を支払ってもらえるのが、一番クレジットカード会社が望むところなんだけれどもね。
信用
江戸時代では1年ぐらい支払いを待てるぐらいの「信用」があったわけだ。ところが今では1ヶ月ぐらいが上限で、それでうまく支払えないのなら即刻取り立てることになっている。そもそも通貨それ自体は単なる記号であって、本当の価値をやり取りしているわけではない。少し前は小判に金が含まれていたけれども今ではそんな通貨はないね。しかも更に進んでいまでは貨幣にふれる機会も電子決済の発達のために少なくなった。もはやお金は、幻のようなものになっている。それでも幾ばくかは持ってないと、現代社会では生きづらいので金を稼ぐ何かをやらなければならないね。完全自給自足を目指しても自動車もガソリンも自分で作るわけにはいかない。決済手段だったお金がものから電気信号となって世界中を駆け巡っている。ただ一つ古来から変わらぬルールは、ツケは必ず払うことになることだ。ツケは必ず回ってくる。損得で一喜一憂しているかもしれないけれども、ずるいことしたら、必ずそれよりもひどいしっぺ返しが回ってくるよ。それは今も昔も変わらないようだね。