リセマラ
主人公
あなたのアバターとしてのキャラがどうも気に入らない。だからお目当てやしっくりくるキャラやアイテムが出るまで何度のやり直している。ゲームならそれが簡単にできるけれども、社会のあなたはなかなかリセットするものが多すぎてうまくいかない。いわゆる「自分探し」と「自分らしさ」を探し求め続けている状態だね。そうこうしているうちに気がついたら今年も師走になり、あっという間に時間が過ぎ去っていく。そしてもう薄々気がついているだろうけれども、来年も再来年もそれを続けているだけであっという間に過ぎ去っていくことは知っているね。そしておそらくはあっという間にあなたは消えゆくわけだ。
あなたらしさ
そんな掴みどころのないあなたを理想のあなたに変えるために、何もかも打ち捨てて人生を費やしている。もはやそれさえ真正面から受け止めることができず、目をそらして今に至るわけだ。そして気がついたら恐ろしいほどの人生をそれだけに費やしてしまった。もしかしたらもうあと残りはどれぐらいだろうと心配になっているかもしれないね。地位や名誉や財産という大げさなものでなくても、ちょっとしたあなたを褒めてもらえる何かが欲しくて気がついたらそれ一色に染まっている。幸せだ不幸だと騒ぎ立てるのもあなたのワガママだし、自分らしいとかそうでないとかもあなたのせいだ。けれども、実は自分らしさなんてずっと探し求めているけれども、どんどん時間だけが過ぎて実は未だに曖昧なままだなんて、誰にも言えないね。
点滅
あるのかないのかわからない理想のあなたに依存するのをやめたほうが良い。あなたはずっとあなただと思っているけれども、実際にあなたらしさなんてあるふりをしているけれども、眠くなったらあなたはいなくなっている。そんな現れたり消えたりするあなたを拠り所にするのはちょっと馬鹿げているね。それに一旦そうやってリセットされるゲームでしかないのに、理想のキャラ設定なんて毎回打ち替えるなんて無駄なことだ。なんとか設定変更ができた頃には、あなたは眠くなって寝るわけだからね。眠っているときはあなたはどこにもいない。夢を見ているとか言うけれども、夢をみていないことは覚えてないはずだ。そして起きたら、すぐさまあなたらしさを取り戻そうと設定変更を毎回している。そんなことよりもただ目覚めたことだけを感じてみよう。実はもともとそれだけで十分に楽しめるゲームになっているよ。