絶景かな、我が人生
窓から眺めている
いろんなことがあって、今がある。一つ一つのほんの小さな出来事がそこにあって、それがみんなつながって今がある。ようやくここが終点かとふと思うけれど、また動きだす。あぁ、まだ最終地点ではないのか。考えてみれば今までずっとずっと旅の途中。途中下車して立ち止まろうと思っても、ようやくたどり着いたかと思っても、またどこか次の場所へ向かう列車の中にいる。そこからぼんやり景色を見ている。まだまだこれから。ここがゴールでも目的地でもない。ずっとどこかへ運ばれ続けている。ああ。ここで止まってと思うけれどそれはかなわない。一時のその場所を楽しむ。まるで車窓を眺めているように、また次のどこかへどんどん景色が変わっていく。ここは思っていた場所とはちょっと違うなぁと思いながら流れ行く景色を眺めている。
行ってみたかった場所
行ってみたかった場所がある。そこからの景色は素晴らしいらしい。そこに向かって列車は動いているはずなんだけど、そううまくはたどり着けない。乗り換え、乗り継ぎを工夫しているけれど行きたかったその場所は思っていたのとちょっと違う。だから、また次の場所へ先を急ぐ。動き出した列車の窓の外の景色を見ていると、急にちょっと不安になる。あれ。行き先間違って乗っちゃったかも、なんて思いながら窓の外の景色を眺める。想像していたのとは違う景色をじっと見ている。なんだかうまく行かない。
思ってたんと違う
景色は季節で移ろい変わる。どんどん変わる。そりゃ同じ景色なんてどこにもない。見ている方も心が変わる。心が変われば見える景色もやっぱり変わる。なんか拠り所を探す旅にはゴールはない。もともと一つの景色から全く変わらないなんてなんで思ったんだろうか。今見ているその景色は自分だけの景色。それはいろんなことがあってのその景色なんだなぁ。他の誰かが見ている景色とは違う唯一無二の景色。自分だけのかけがえのない景色を楽しもう。そう思うと変わりゆく景色すべてが宝物だと気づく。たまに大雨でなんにも見えない時もあるけれど、一瞬見えたその景色を楽しもう。同じ場所でもほら、どんどん変わっていくよ。移ろいを知って足るを知る。どこにも行かなくても、すべてがそこから見える絶景だった。これでいい。これでいいのだ。