叶わぬ夢
成就
もしあなたのその願いが全て叶ったら、なんの問題もなくなってあなたはそこからずっと幸せに暮らせるだろうか。あなたはもうすでにその答えを知っているはずだね。それはほんのワンステップに過ぎず、仮に思い通りにそれがなったところで見知らぬ問題に直面する予感がしている。そしてそれは残念ながらそのとおりになるだろう。そしてまた新たな願いがそこに浮かび上がるわけだ。まるでいたちごっこのように、叶えても叶えても次から次へと願いがどんどん膨らんでいってしまう。もちろん今はそれを切望してやまないだろう。そしてなかなか思い通りにならないことを毎日嘆いている。それと同時に心のどこかで仮にそうなったとしてもその先のことは考えないようにしているね。
狭い世界
願うことができる世界は、決まってとてもニッチな世界だ。目の前の目標や、とりあえずのしのぎとしてのそれらは今は叶えるようにあらゆる手を尽くしている。けれども、うまくいくどころかどんどん遠ざかってうんざりしているね。まるで荒波の中を向こう岸まで辿り着こうと必死に泳いでいるかのごとく。どれだけもがき苦しんでも一向に前に進まないどころか、どんどん押し流されて気がついたら思ってもみないところまで流されている。そしてもうどうにでもなれと開き直って流され続けた途端、見知らぬところにたどり着くわけだ。またこうなるかと、それもいつものことだね。そうやってやれやれと思ってその岸から上陸してみると、なんのことはない案外それはそれで悪くなかったりする。じたばたしていたあなたのエネルギーなんか全く歯が立たない大きな何かに支配されていることを知ることになる。
本当の世界
そう、あなたが楽しくて波に揉まれているのなら、それでもう全てが始めから叶っている完璧な世界だね。あなたが目指していたちっぽけな島が桃源郷だと勘違いしていただけで、実はどうあがいてもそうなるように見えないチカラで決まっていたことに気がつくわけだ。ならばと次こそはそれを楽しめるようにと、またつまらない新たな願いがそこに生まれてしまうわけだ。けれども、それも叶うことはないね。もう何もかもがそういう仕組みになっているとすれば、あなたはただただその大きなうねりに身を任せることしかできることはない。なのに、またそこから見える何かにとらわれてしまうことを何度も繰り返している。でもそれでいいんだよ。あなたが行きたい方向を決めるのを楽しむことがあなたに許された唯一の醍醐味なんだからね。でも実際には決してそのとおりにならない。そこまでがセットになっていることを知っていればそれでもう十分なはずだね。