煌めく世界
きらきら星
星を見ていると、星はきらきらと輝いているように見える。でもあなたは知っている。星はずっと光り続けているだけで、きらきらと光量を変えているわけではないことをね。でも大気のせいで何万光年と遠く離れた星は揺らいでいる。そんな事実は事実としておいておいて、今のあなたはきらきらと輝いている星をじっと見つめている。あなたにとってそれは希望であり、奇跡であるからね。よく考えてみればもう随分も星空を眺める時間なんてとってこなかった。そんな暇があればもっと生きるために重要なことをこなさないといけないと思いこんでいたからだ。慌ただしいそんな日々の中で、たまたま季節が冬になって家路につくころに不思議な光を空に見つけた。ああ、やっぱり空には無数の星があるんだなと、そのほんの一部しか見えない都会の真ん中で思い出したわけだ。
街明かり
そんな瞬間が訪れた後、すぐさま現実の忙しい世界へあなたは戻る。いつもの家路を急ぐ中で、なんだか今夜の街明かりがすべてきらきらと光っているような気がした。ああ、そう言えばクリスマスも近いわけで、商業的にしか世界を見てこなかったけれども、いろんなイルミネーションがきらきらと輝いていることを改めて知ることになる。もうそんな季節か、とため息一つ心の中でつぶやいてみる。そう言えば去年も同じことを感じたんだろう。けれどももう遠い昔話のように思えてまるで実感がわかない。そう言えば、子供の頃にはこの年末ともうすぐくるお正月にワクワクしていたなと懐かしく、走馬灯のように印象的な思い出がふと蘇る。そんな一瞬があった後に、やっぱり疲れた体を引きずって心を無にして明日の仕事を考えている。そうやって過去と今を行ったり来たりしているうちにいつものアパートにたどり着いた。
ホーム
なんでもない殺風景なアパートの一室で、あなたは疲れた心と身体をいつものように開放する。そういえばここに住んでから何年になるかなと思ったりする中で、きらきらと輝く星とあなたの半生を重ね合わせたりする。今夜はなんだかとっても疲れているようだ。少しばかりのお酒を飲みつつ体を休めることを考えている。そんなことすらわざわざ考えないとできなくなっているね。疲れたら休む、眠くなったら眠る、お腹が空いたら食べる、なんてとってもシンプルなことすら考えてスケジュール化しないとできないなんてね。そんな生活の中で幸せなりたいと強く願って頑張ってきたけれども、すでに幸せであるならば幸せになりたいとは思わない。そして今がそんなに不十分なのかと確かめるにも、それほど不幸せでもない。だって今夜は帰り道にきらきらと輝く星を見つけたんだからね。