惜別
終わり
もう何度も経験して十分すぎるぐらい知っているはずなのに、やっぱり終わりが近づくと寂しいような切ないようななんとも言えない複雑な気持ちがすっとよぎるね。始まりがあれば終わりが必ずあることぐらい、きちんと受け止めているつもりで生きてきたんだけれども、やっぱりどうしてもちょっとそんな気持ちがなくなることはない。もちろん、終わりは新たな始まりでもあるので門出でもあるから悲しみばかりでもないはずだ。ならそんな気持ちがどうしても拭えないのはどこからきているのか。単なる表面的な執着が過ぎるのか。あれこれと考えてみてもそうであるかもしれないけれど、それですませるような気持ちでもないね。しっくりくる答えなんて見つかるわけもないけれども、強いて言えばそれだけの思いを精一杯伝えきれたかどうか、全力で駆け抜けられたかどうか、という振り返りによるものかもしれない。
傷跡
もっといい方法がなかったか、もっとしてあげられることはなかったか、色々と振り返る中でもちろんすべてにおいて完璧なんて存在しないから多少の思い残した何かを見つけてしまう。それでも、あれこれと試行錯誤していたことは永遠だし、実際に近くにその対象が見えなくなったとしても変わることはないね。まだ見ぬ未来のことではなく、これまでのやってきた軌跡というか爪痕はしっかりとあなたの心に刻まれている。やがてその傷も癒えて見えなくなってしまうだろう。けれども、そうしたひとときは決して消えることなく違う形であなたをずっと支え続けることになる。無我夢中でどこまでやれたかどうかがあなたの核心となって、あなたの勇気のもとになるわけだ。だから、悔いはあっても大丈夫、それで十分だったと言えるわけだね。
挑戦
だからあれこれと散々考えた後は、あなたも新たな挑戦をしよう。逡巡しているそのエネルギーを実際の行動に転換すると、そのとてつもないパワーが開放されるからね。そもそも区切りというのはあなたがそう決めただけであって、これからもずっと続く道の中の中継点でしかない。手足を動かせる時間が決まっているのであれば、動くだけ動かせばいいね。それで動かなくなったときは、今度は違う何かに取り組もう。なにがどうなっても、なにもできないようになるまでなにかをし続けることが、あなたの定めなんだからね。ただ、ひとまずはお疲れさまと言ってあげよう。そしてこれからもまたよろしくお願いねと続いていくわけだ。次のフェーズは必ず今までとは違ったものになることは間違いないのだからね。