パノプティコン
監視カメラ
現代は至るところに監視カメラがある世の中になりつつある。もうそこから逃れるには山里深くまさに獣のすみかまで逃げないことには、あなたの行動はどこかで記録されている。いつもネットに繋がっている便利な機器の電源を入れただけでもあなたの位置はすぐに特定できる。こんなシンプルでかんたんな仕組みでさえ気がつかずに、いまだあなたは人知れずに暮らせていると思っていたりする。孤独が問題になっているけれども、スマホひとつ持ち歩くだけで実はそれは単なる勘違いだという社会だね。ところがそういうテクノロジーには全く疎いまま、あなたはいつまでも孤独だと思いこんでいる。そんなあなたの意に反して、あなたはすでにシステム上では逃れられない状況になっているのにね。
逆も真なり
ということは、この現代社会において、わざと便利なテクノロジーで生み出された機器を全く使わないで、人知れずそういう人里離れた場所で本当に一人で暮らしていける力があれば、実はかんたんにあなたはいなくなってしまう。もちろん今では人工衛星で地上の車のナンバーまで解析できるぐらいのカメラがあるので、それすらクリアした瞬間にあなたはいないことになるわけだ。地下深くで暮らすとか、空からの解析を防ぐことができればの話だ。だからこそ現代では大国が武力で攻め入ったとしてもなかなか昔のようにすぐに勝敗がつかなくなっている。あるいはそのシステムをハックすることで、敵を欺くことも戦法の一つとなっているね。ただ普通に街なかで買い物をしたり、でかけているならば決して見つからないような社会ではすでにない。
他人の目
だからどうしてもあなたが普通にこの世で暮らすと、他人の目を気にするなという方が難しい。どこへ行っても、何をしても、すべてその記録が残ってしまう社会で暮らしている。もちろん有事でなければそれらのシステムはそれぞれで閉じているので、それを開示命令できる国家権力が捜査しないと、いまだトータルで追っかけることができないから多少ごまかしがきく。本気出せばすぐにわかるけれども、逆に言うとそこまでしてあなたに関心をもっているわけではないというのがその理由だね。だから個人情報だのプライバシーだの大騒ぎする必要もないね。検索したり統計分析上であなたはそのデータの一部にはなっているけれども、その目的はあなた個人にはほとんどない。ただ、いつも見られているのが気に入らない誰かだとかなりのストレスだろう。けれども、いつも見ている人が愛すべき人であればあなたは安心する。相互監視社会でストレスなく生きるコツはそこにあるね。誰かに常に見られていると思うのではなく、いつもあなたを見守ってくれていると思えればそれほど悪くもないはずだよ。