新境地

日々

コントロール

何でもかんでも計画さえ緻密に立てればコントロールできると思いこむようになったのはいつの頃だろうね。もちろん、それでうまくいくときもあるけれども、ほとんどは偶然にそうなったわけで実はコントロールしていると思っているけれども、その計画でさえ自然にそうさせられているものだとしたら逆転してしまう。わかりやすく言えば、計画はあなたが立てたように思っているけれども、それもなにかに操られてあなたはそれをしただけかもしれない。もしそれが真実だとしたら、あなたが何かをどうするということは実は全くもってゼロであって、すべてがあなたとは関係もなく動き続けているというわけだ。もうレールの上で走る列車に乗っているようなもので、あなたができることはただそれに従うことだけとなってしまう。

車窓

動き続ける列車の車窓から、流れる景色をあなたはただ見つめている。そして、その景色にいろんな思いを馳せているんだけれども、それは全くあなたとは関係なく移り変わっていく。でもずっとそれを眺めていると、例えば雨雲が見えてきて、ああもうすぐ雨が振りそうだと感じたことが、あたかもあなたがそうしたように勘違いしている状況に陥る。そして想像していたとおりに雨が降り出すと、ほら見たことかとあなたは一人かってに膝を打っている。次にトンネルを抜けるとパッと景色が変わるだろうと思っていて、まさに思っていたとおりになるといつの間にかあなたはその先を予言できる力がついたと思ってしまうね。窓の外にはいろんな景色が流れている。そしてあなたはそれに対して少しばかりの予測ができると思ってしまう。いつもやっている車窓を眺めて楽しむ一つの方法だね。そしてそれが外れたときもまた一興で、なるほどそういう変化もあるんだと思ってもいないことであってもシンプルに楽しんでいるはずだ。

放棄

そうして時がすぎると、いつの間にか移り変わる景色をただぼんやりと眺めていて、予測しようとも思わなくなる。ああ、いつの間にか雨もやんで晴れ渡っていることに気づく。ああ、もう雨雲を抜けたんだなと余計な詮索もなくただ受け入れている。そしてまたトンネルが近づき、パッと車窓が漆黒の闇に変わってしばらくすると、今度は夕闇が深くなっている。それを見てあなたはもうそんな時間かと時計を見たりする。そこでなんでそうなったんだとかジタバタすることすらない。流れるまま、そのままを受け入れて、あれこれ詮索することを放棄している状態だね。そうしているうちに目的地に到着し、あなたは降りる準備を始める。そしてプラットホームに降り立ったときは、あれこれ予測したり詮索していたことすらすっかり忘れているね。降り立った瞬間にすべてがクリアになって新しいあなたに変わったとも言えるね。まるでこれまでの生き様みたいにね。