偶像はそのままに

日々

憧れ

かつて憧れたものや人は今はどうしているかな。それを手に入れようともがいた結果、もう興味がなくなって久しいかもしれない。あるいは、まだその憧れはずっとそのままで、いつかあなたもそうなるようにと今でも引き寄せようと企んでいるかも知れない。とっても美しく見えた花も、近くによってみると花弁がしおれていたり、虫に食われていたりしてがっかりすることもある。あれほど美しいと思っていた人の顔を間近で見ると、全く違う印象でびっくりしたこともあるだろう。ちょっとした言動や仕草なんだけれども、憧れが強ければ強いほど実は違っているところがすぐに目立って嫌になってしまうことが多いね。そう、あなたが憧れているのは実はそれそのものではなく、そこにあなたが勝手に付け加えた理想を含んだ、全く別なものなんだよ。

手に入れる

だから、憧れは憧れのままにしておくのが一番良い。それをどうこうしようと思ったり、ましてやあなたの近くに引き寄せたりするのはやめたほうがいい。ずっと遠くでじっと見守っているだけで、あなたは幸せであり、微笑んでいられるわけだからね。それが思った通りのものであったとしても、あなたのそばにずっとあるのは逆に言えば不幸のもとになる。すべてがあなたの思いで投影されているそれは、あなたと寸分違わず反応しなければならない。けれども、それはあなたが勝手に付け加えたものだから、どこかで破綻する。お気に入りの絵画を部屋に飾ってしばらくは楽しい時間が流れるのは間違いない。けれども、やがてそれは古ぼけてしまうし、ホコリをかぶって汚れがついていく。それをあなたは大切にするだろう。けれども、あなたのものにした以上は、いずれは訣別するというオプションが避けられない。

成長

どちらかというと、憧れは一つの勘違いであってきっかけに過ぎない。だから、一番最初にがっかりするほうがかえって長続きする事が多いね。あるいはそれほどなんとも思っていない方が、その後ともに気づきと成長があってより動的に楽しむことができる。あれほど恋い焦がれて寄り添うようになったのに、その結末が残念なことが多いのは、お互いにこうであるべきという形が決まりすぎている。さらに遠目で見ていると見なくてもいいものがちょうどベールに隠れていい具合になるのも大きい。だからそばに置いておくものは、なんてこともないような人やモノがいいわけだ。もちろんそれにも縁があってすべてそうなるわけでもないね。あなたがそうなると思ってもないことが、実はあなたにはぴったりであり、ともに成長をもたらすわけだ。要するに憧れは、憧れだからそれで素晴らしく完結している。それ以上は欲深く求めたりはしないほうがいいね。