無菌室

日々

対処

あなたはいつも悪くなくて、必ずあなたの邪魔をするあなた以外の何者かを悪く見ている。あなたの知らないところで起こるそれらは、徹底的に排除することであなたは安心をするわけだ。今はそういう原因と結果において、原因を徹底的に潰すことが正しいとなんの疑いもなく考えている社会になってしまっているね。あなたに害を及ぼすと思われるそれらをできればゼロにすることが可能であれば、おそらくはある意味暴走気味になる風潮が強いことが果たして本当に正しいのだろうか。あなたに不快な思いをさせる他人は徹底的に糾弾する対象となるし、あなたを病気で苦しめる目に見えない微生物は徹底的に根絶しないといけないし、あなたの邪魔をする他者は徹底的にやっつけるしかない。はてさて、いつからそうなってしまったんだろうね。

環境

あなたが快適に過ごせるこの世界には、あなたが知らないところでその環境を維持してくれている。でも残念ながらあなたにはそれらは見えないことがほとんどだから、あなたにとってはそれらはすべてなかったことになっている。原因を追求するにしても、これが悪いとやり玉にあげて社会の正義がそれを叩く。さらにそれだけでは物足りず、あなたが愛する人のためにもなるからと大義名分をそれに与える。もともと面倒くさがりのあなたをも、それに加担させるような正義を振りかざす言葉が行き交っている。悪者は徹底的にやっつけて然るべしと、あなたはそこで思考停止してしまう理由としては十分となる。そもそもあなたの周りの世界で見えているものなんてほんの僅かでしかない。目に見えない恐怖であなたは行き過ぎるぐらいに正義の名のもとにやりすぎるのは必然だね。もはや、誰もいないところにも剣を振り回すほどになってしまっている。

能力

思っているほどにあなたは弱くない。それについてもあなたは知らないままでいる。おかしな話であなた自身のことでもあるというのにあなたは自らの防御力を把握していないんだ。逆に言えば、外敵を恐れるがあまりにあなたは必要な仲間までも間違って攻撃してしまう。もちろん、守るためにはある程度の犠牲も必要だね。でも行き過ぎるのは良くないことも知っている。さらにどう頑張ったところで、あなたを悩ませる外敵をゼロにすることなんてできるわけがない。ある程度の不幸は、同時に幸せになることを含んでいる。ある程度の悪行が、あなたがを善きものにするパワーを備えている。外敵にさらされることで、生きる術という知恵をそこから引き出すことも知っている。おかしな話で現代では沢山の人が無菌室で過ごしたいと思っている。もしそこに入れば二度と外界に出られなくなってしまうね。あなたはありもしない無菌室を作るのに命を捧げるつもりなのかな。それはもはや生きていると言えるのかな。