集合体

日々

一人じゃない

あなたはたくさんの細胞でできていることは知っている。細胞一つ一つが唯一無二のあなたそのものだとすれば、あなたはたった一つではないね。人間の体はそのちっちゃな細胞という生物で構成されているらしい。でもあなたはその実感はないね。曖昧に自我がぼやっと生まれて、その事実を覆い隠しているわけだ。もちろん意識を構成するのが脳だとしても、脳の中には無数の神経細胞でできてる。理屈ではわかっているけれどもどこをどう探しても無数のあなたを感じ取れることは難しくて、いつもあなたと思われる世界がぼんやり一つしか思い浮かべられない。もちろん多面的なあなたがあることも知ってはいるけれども、なんとなく本当のあなたみたいな存在を基準としているのも事実だね。その多数の生物の集合体があなたであって、さらにあなたが外の世界として認識している世界には親しい友人や見ず知らずの他人もいるわけだね。

情報ネットワーク

多細胞生物と分類されるあなたは、その数47兆個とか60兆個とか言われる無数の細胞で構成される有機体だね。多数のそれらのネットワークの総体があなたとしてぼんやり浮かび上がっている。あなたのそれらは絶妙なバランスを保つために化学物質や神経細胞の発火によって複雑な情報を常にやり取りしている。そのミクロの視点をマクロに移してみても、同じように多数の生き物の中で暮らしているわけだし、その浮かび上がる地球という天体は想像を絶するぐらいの多数の星の中にあるらしいね。そういう視点で分析すると、ミクロの宇宙がそのままマクロの宇宙と相似形となっているわけだ。その中で奇跡的に情報ネットワークのおかげであなたは小宇宙としてその片隅に存在しているわけだね。

完結

そういう意味ではあなたそのものが宇宙と相似形であり完結した小宇宙でもある。だからあなたそのものが世界そのものであり、それ自体が完全体であることは間違いない。その世界を司っているのはあなたであるし、神でもあるとも言える。いつだって一人ぼっちになろうとしてもそもそもなれないし、孤独だと嘯いたところで実際はそうではない。あなたの中のちっぽけなたった一つの細胞でさえ、何らかのつながりを持たずに生きながらえることはできないし、あなたという集合体から離れた瞬間に死んでしまうわけだね。世界はすべて絶妙なバランスによってでしか成立しないし、それが破壊された瞬間に存在さえ危ぶまれるほど脆いというのが本質だ。そういうホメオスタシスの中で僅かな時間だけぽっかりと浮かび上がっているのがあなたの正体である。だから一人ぼっちになりたくてももともと無理な話なわけだよ。