最短ルート

日々

回り道

効率化が一番求められる時代において、無理、無駄、ムラは一番に忌み嫌われる。それに応じてあなたにとっての人生の目標を定めることを強いられ、大急ぎでハリボテの目標を掲げさせられる。それがいつの間にか絶対に変わって、それ以外をやることに嫌悪感すら覚えるようになっているね。子供の頃、学校から家まで寄り道せずにまっすぐ帰りなさいと言われていた。けれどもあなたはいつも好奇心に駆られて、ダメだとされる寄り道や回り道をしていた。もちろんそれがすべていい結果になるわけでもなかったけれども、小さな冒険に心躍らされていたはずだ。知らない道に一歩踏み入れたときの、なんとも言えないドキドキ感とどこへつながっているのかわからないという不安とが入り混じった感情を、いつの間にかその時以来どこかに置いてきてしまったね。

挫折

社会人と呼ばれるようになったあなたには、成果主義で評価される会社で上司と短期間での目標設定をさせられることが日常になった。おそらく新人の頃はそれをどうやればいいのかよくわからなくて、言われるがままに提示された目標を設定していた。ところがそんな生活にも慣れてきた頃、それがどうにもうまくできない部下に対して軽蔑の眼差しを向けるようになってしまった。そもそも生きるのに目標なんて必要ないし、会社で求められる成果に関しても、あなたにとってはそれほど重要でもなかったはずだ。ところが会社があなたの居場所として確立していくほど、あなたと会社は一心同体に変化している。第二の居場所としてあなたの高い順応能力がいかんなく発揮された結果であるから、それはそれで悪いことではない。けれども、だからといってそもそもどう考えてもサラリーをもらう表層的なハリボテの目標なんてそれほど真剣に語る価値もないことは知っていたはずだ。

ゲーム

そろそろ気がついているだろうけれども、そこでのあなたの振る舞いなんかも一種のゲームと同じだ。それをクリアしたところで人生ゲームでの地位や名声や豊かさが高まるだけで、いずれ電源を落としたら何も残らない。もちろんだからといって最初から投げやりにプレイすれば、とてもじゃないけれども楽しむことなんてできない。ゲームなんだから楽しんでやる方がいい。だから最後のボスキャラを倒すことに夢中になることは、それ自体本来の方法で間違いない。一方でそこまでの最短距離ばかりこだわってしまうと、隠しキャラや隠し機能に気がつく暇もないね。ゲームを存分に楽しみ尽くすためには、やっぱり寄り道や回り道もときには必要だということだ。そのときのワクワク感が実はあなたの一番体験したかったことだったりするからね。効率化に疲れたならば、たまの寄り道もいいものだよ。