制御不能

日々

支配下

ある意味あなたはあなたの人生を支配下においていると思い込んでいる。ところが何一つ今までに解決したことがないとなるとおかしなことになるね。これは実は国家でも同じことが起こっていて、武力的に優秀な軍隊に指示を下しているトップは、一番武力的に弱い。あなたに置き換えてみると、あなたはすべてを指示命令できる立場である一方で、実行部隊が兼ね備えている能力は指示命令する側にはことごとく足りていない。むしろ不足しているからこそそうなっている。だから仮に戦争になったとしても、戦争を決断した国会議員は誰一人戦わないね。そして若くて腕っぷしに自身がある末端だけが疲弊していく構造にある。あなたも命の要の部分をコントロールなんてできないのと同じだ。あなたが気を失っているときでも、日夜休まず心臓は鼓動し続け、各臓器は生命維持に奮闘している。そのいずれもあなたの支配力は遠く及ばないだろう。

脆弱

そういう意味では、あなたは一番貧弱で弱っちい存在でしかない。誰かの助けなしに自らの生命の維持さえできない。他の生命をいただくことでかろうじて生命維持ができる。いわばすべて支えられた存在でしかない。自立できる部分なんてないに等しい。だから、まずはそれを自覚した瞬間に、何よりの強かさとなる。それを勘違いしたまま、支配者ぶったところで何一つ思い通りになんていくわけがないのは自明の理だ。ところが、そこを巧みに捨象するある意味特殊能力で、あなたはかろうじてあなたを保っていられる。けれども存在自体がそもそもすぐに消えてなくなるような弱々しい自我でしかないのに、不思議なことにずっとあなたは今でも勘違いし続けていられるわけだ。

自責

だから何か悪いことが起こると、まずそれはあなたのせいではないかと思ってしまう。そしてさらに悪いことに、あなた以外の何かが原因で間違いないと勘違いしてしまうから、ついには犯人探しに躍起になってしまうね。それこそ犯人が見つかるまで、あなたは不毛なそれらを永遠に続ける羽目になる。実際は因果関係を辿っていく思考回路になるわけだけれども、それはあなたの知る範囲でしかわかり得ないわけで、本当はそれが無限に続くことも知りつつも、それも上手にあなたの世界でかろうじて認識できるところで捜索を打ち切る。そうしてたぶんここが世界の果てだと言わんばかりの、およそ見当違いの原因を特定してしまう。そしてそれが根拠だと騒ぐことで、それを拠り所にした仮説なんてなんの整合性も価値もないのに、それがあなたにとっての正義として飲み込むしかないわけだ。そんなものを握りしめたところで、やっぱり何かが解決することなんて夢のまた夢だね。もっと言えばあなたは夢から覚めたことすらないということだ。