あなたのビジネス
夢心地
すべての望みが叶って、充足しているときを想像してごらん。それだけでとても幸せだと思っているだろう。あらゆることが思い通りに進み、なんの不都合も不自由も苦痛もない。その瞬間はさぞかし至極の時間だろう。でもそんな幸せの時間もほんの一瞬でしかない。なぜならそれがすぐさま「当たり前」の世界に変わってしまうからだね。そこでまたもっと良くなるはずだという欲望と不満が湧いてくるだろう。もちろん、それもまたすぐさま達成して、また充足の時間が訪れるならば、どんどんあなたの理想を生きることができるだろう。でも心のどこかでそんなことなんて有り得ないと思っているあなたがいる。有り得ないから幸せであって、あり得ることはすべてつまらない日常へと化していくわけだ。その仕組みはいつまでもきりがない無限ループであることに気がついてしまうと、もう不幸の無限ループでしかない。
ベストプラクティス
未来志向はビジネス上では鉄板だ。昨日より今日、今日より明日と日々改善を続けていくことが生きる道だと教えられているからだね。経常利益が100万円なら、来期は200万円を目標にするだろうし、今期が1億円の利益であれば次は2億円を目標設定するだろう。少なくとも今で十分と思ってしまうことは現状維持どころか、むしろ競争社会では後退していることになるからだね。そうやって常にもっともっとと掻き立てられる毎日だから、あなたはうんざりしている。それとあなた自身の満足度や幸福度を同じように紐づけてしまうからそうなってしまうし、人生において唯一のベストプラクティスがそれと同じであるからこそ、決して満足を感じてはならないという強迫観念にとらわれてしまっているわけだ。
資本主義の洗脳
そういった社会的洗脳から解き放たれたところに、幸せの本質がある。みんなと同じだとか、誰かと比較するとか、未来はもっと頑張らなければというのはあくまでもビジネスのビジョンであって、あなたはその中に組み込まれて生きているだけだ。けれども、だからといって完全に同化しなければならないわけでもない。誰かと比べると少ない収入であっても、あなたはそれなりに工夫して楽しく過ごすことができる能力が備わっているし、たとえ急にその収入が得られなくなったとしても、あなたを助けてくれる友人がいるだろう。逆にそれが全く見当たらないのならば、あなたは社会的に洗脳されすぎているので注意した方がいいね。あなたの身分や収入なんて誰も気にしておらず、あなたの人柄そのものに惹かれて集まっているコミュニティさえないのならば、まずはそれを見つけることから始めよう。ビジネス的には全く持って無駄でしかないそれらは、人生にとっては本質だとも言えるのだからね。