人生があっという間な理由
瞬く間
日々あっという間に過ぎていき、気がついたら今年も半分以上が過ぎている。それがどんどん早くなっているような気がしているだろう。その原因はとってもシンプルで、あなたが壮大なこれまでの物語を構築するに時間がかかっているせいだ。いつもの癖として、すでに数年前のことをついこの間のことだと握りしめたままだし、ちょっとした過去の栄光にいつまでも浸って離れられず、だからあなたはこんなにも頑張ってその結果素晴らしい実力を手にしたといつまでもその余韻に浸って反芻している。そうやってほとんどが今を見つめることなく、過去のあなたしか見ていないから、ふとした瞬間に我に返ったときに浦島太郎のような状態に陥るわけだね。年齢を重ねると時間が進むのが早く感じるのは、簡単に言えば振り返る過去を抱え込んでいるだけなんだ。
逆転
その要因の一つとして、あなたは時間が進むという考えにとらわれていることだ。時間は未来からやってきて今をかすめて過去に流れているような感覚をおそらく知らず知らずのうちに持っているだろう。タイムテーブルやスケージュルやカレンダーもそうやってできているからなおのことそうだね。予定がどんどん埋まっていって、一息つく暇もないぐらいスケジュールに追われて、締切や期日に追われているから、やっぱり時の流れが間違いなくそうであると思いこむのも無理ははない。でもそもそも時間という概念はその一方向なのかどうかという検証はしたこともないだろう。もし時間が過去から未来へ流れているとしたらどうだろう。あなたはにわかにはそれを飲み込むことなんてできないだろうね。でもアナログ時計をじっと見ていられる機会があれば、時間は本当のところなんであるかを再考できるかもしれない。
バックナンバー
どこに進むも戻るもなく、その場でずっといるだけなのに、あなたが見ている時計は秒針が回転し続けている。単に回転しているだけでどこかに行って見えなくなるわけでもなく、消えてなくなるわけでもない。もちろんその時計もいつかは動きを止めるだろう。けれども、じっとその秒針を見つめているとなんとなく不思議な感覚になってくる。それは雲の流れのようにも見えるし、月の満ち欠けのようにも見えるし、日の傾きのようにも見える。季節は必ずやってきて、同じように今年の夏は特に暑いなどと口々に言うけれども、すっかり毎年そう言っていることすら忘れている。もっと言えば去年本当にそう言っていたのかどうかもおぼろげだね。その去年こうしていたという思い出も、今なんとかひねり出してなんとなくそうだったのかなと今思っている。あなたは今に、時間が流れたとされる過去を、あっという間に生み出す能力がどんどん長けていっている。そうやって生み出せる過去のストーリーが壮大であればあるほど、過去の創出にほとんどを費やしている。そのせいで、我に返る今にある瞬間に、はっとするぐらいの時の流れの早さを感じているわけだ。