素直に感じる世界

日々

調和

あなたは、もとからいわゆる観光地が苦手だ。大自然のパノラマが展開されているというのに、それを誇張するかのような人工的な建造物が視界に入るととたんに興ざめするからだ。違和感というか、せっかくの手つかずのそれを感じとるのを邪魔しているだけかのように感じる。もちろん、その立派な建物があったほうが沢山の人が集えるし、休憩もできるし、エアコンも効いて快適に過ごせるだろう。そうして大型バスが次から次へとやってきては、大量の人々が同じ場所へ向かう。SNSにいけてる写真をアップしたいがために、皆がこぞって同じ場所、同じ角度で自撮りしている。それが終われば目的が達成されたかのように、快適な室内やバスへ小走りに戻っていく。もうすでに次の映えスポットの下調べに取り掛からないといけないからだね。

違和感

何もない山道を歩いていると、ふと足元に空き缶が転がっている。それに驚きとてつもない違和感を感じるだろう。もちろんあなたもそこに足を踏み入れているわけだから、人類未踏の地というわけでもないことは知っている。けれども、だからといってその場に空き缶を投げ捨てるなんてどうかしていると呆れている。まぁ、どういう経緯でそこに空き缶があるのかまでは、正確にはわからない。そこで空き缶を拾ってカバンに入れる。そうしてあなたは街のコンビニのゴミ箱へそれを捨てる。はぁ、やれやれと思っているかもしれない。けれどもあなたがしたことは、単にゴミを移動させただけだね。もちろんしかるべき処理がされることを期待してのことだけれども、そのもとの持ち主も実はそのつもりで、道中たまたま落としてしまったかもしれない。

あなたの世界

これらすべてが今のあなたの世界だ。だからもちろん好きにしていい。整備された観光スポットに映える写真を撮りにいくのも良し。ゴミは持ち帰る主義なのも良し。面倒なのでそのままにしておいても良し。倫理観とか社会的な体裁とかも含めてすべてあなたが決めたら良い。そう、それらがあなたをすべて祝福している。あなたが感じる違和感も、そこでの調和も、すべてがあなたがそう感じている。とにかくあなたがやるべきことはあなたが思ったままのそれらである。そうしているうちに、あなたの世界はすべてがあなたのものだと知ることになる。好きなことも嫌いなことも苦手なこともすべてがあなただけのものであるとしたら、すべてが愛おしく感じるだろう。誰かのものなんて何一つもなく、すべてあなたのものなんだから。