名もなき花

日々

道程

いつも苦しい思いをして、思い通りになんて何一つうまくいかないどころか、さらに追い打ちをかけるような面倒なことばかり起こるのにも、もううんざりしている。そんな状態だからこそ、なぜか負の連鎖のように何もかも気に入らないことが、新たにまた起こってしまう。仕方がないので一つ一つをやっつけていくのだけれども、何かこうすっきりしない気分で毎日が過ぎていく。高村光太郎の詩じゃないけれども、あなたの前に道がない、でも振り返れば確実にあなたがジタバタした記録がはっきりと見える。

僥倖

そんなこんなで、なんとか生きているあなたは、気がつけばもうずいぶんと道を生み出してきたね。その路傍には名も知れない花が咲いているのを見つける。ああ、こんな獣道にでもたくましく育つ生命もあるんだなと気にも留めない。でも、確実にあなたのせいでそれは咲いている。弱弱しくもしたたかに、風に吹かれて咲いている。あなたはまだその意味に気がついていないかもしれない。あなたがそうしてきた道は、そうなるようになっていたことをね。そうやってあなたは少々のことで驚いたりしない勇気と度胸を知らず知らずに手にしている。

開花

そうやって、どちらかというとパッとしない人生を歩んでいる。今でもいろんな厄介ごとがあなたを苦しめているだろう。でもそれと同時にあなたはかけがえのない何かを手にしているんだ。もちろん、それはあなたが望むそれではないから、気にも留めていない。でも、あなたがいるおかげで、路傍の名もなき花はきれいに咲き誇っている。まるであなたを応援して、祝福するかのようにね。そうやってあなたは成長していく。そう、それは誰にも止められないし、あなたでさえ制御することなんてできない。そこにいることはそれだけですべてが叶っているわけだ。