無駄を愛する

日々

コース

いろんなことを始めるのに、手順とか順番とか計画とかなどと呼ばれる決まった進路があるね。これをコースと言ったりしている。学生時代の進学コースとか就職コースなんかもそうだし、フランス料理のコースなんかもそう。とにかく何かを成し遂げるにはそれなりの順番と手順があって、コツコツと積み上げていかないと、ましてや一足飛びに進むことなんてご法度だと教えられてきた。だから、やりたい夢を語ったり、なりたい希望なんて他人に話そうものなら、それに必要な準備は整っているのかいと突っ込まれてうんざりしているわけだ。もちろん、芸術家のように無から有をばんばん生み出すことができる特殊な才能があると言いたいわけではない。けれども、たとえば面白いことをやるにしても、下準備や仕込みが大切なんだと、面白い時間よりも淡々と進めなければならない時間のほうが多いわけだね。

コースアウト

だから、あなたは何をやるにもコースが見えてしまう。だからあえてそこからはずれようとしてしまう。そう思ったとしても、結局はコースありきなんだから、それも実はコースの中の一部であることにも気がついているね。そう、そんなつまらないコースを忘れようとすればするほど、そこから永遠に離れられなくなってしまうわけだ。そこで諦めて言われた通り、見えているとおりに順序よく進めていくことがほとんどなんだけれども、それがなかなか思うようには進まない。だから、途中で嫌になってそのレースを棄権してしまうことばかりだ。そうやって、あなたは何も新しいことや面白いことをする能力が不足していると勝手に思い込んでいる。本当は楽しいことをやるためにあなたはそこにいるというのにね。そのジレンマでやっぱり顔色が暗くなってしまっているわけだ。

未完成

それもこれも、よく考えてみれば面白いことを完成させなければならないとか、やりたいことを思ったようにやり遂げなければならないとか、そんな有意義で価値があるとされるゴールを設定しているせいだね。そこで天邪鬼のあなたの力をフルに発揮しよう。この世で言われる意味あること、価値あることなんか、全部幻想で嘘っぱちなはずだね。この世の価値はそこにあるわけではなく、もっといえば価値なんていうものもなく、あなたがやりたいことはそういう意味では無駄で無価値でくだらないことであるはずだ。そう、やりたいことの本質はすべてそこに詰まっている。となればコースも段取りも積み上げも仕込みも関係ない。そんなものはすべて消えてなくなって、ただただあなたのやりたいことだけが残る。騙されたと思ってそれを愚直にやってごらん。気がついたらあなたは憧れの眼差しで見つめられるようになる。まぁ、もちろんあなたにはそんなものはなんの意味もないけれどもね。