優しい言葉が苦手なのは
自然
すべては流れるがまま、自然のうねりの中にいる。それはあなた自身が自然の一部だからである。それを変えたくてあなたは必死にもがいている。けれどもあなたが自然そのものであるがゆえに、思考でなにかしようとしてもなかなかにうまくいかないね。そうしていつの間にかすべてが不自然になってしまい、流れに逆らう形で踏ん張り続けるはめになる。それをあなたは不幸だと決めつけているだけだね。だからその力が入っている手足を流れに任せてしまえば、流れに簡単に乗ることができる。でもそれがあなたが行きたいと思う方向とは違うので、やっぱりなんとか向きを変えられないかと身体のあちらこちらに力を入れてしまう。では、あなたが行きたいと思うそれは一体どこなのだろう。
目的地
人に自慢できるような能力を身に着けたり、人が羨むような地位や財産を手に入れたり、その結果、おそらくは悠々自適な生活を夢見ている。今よりもっと楽で幸せな生活がそこに広がってると信じているからだね。しかし、そのためにはかなり無理をしないとたどり着けないと思っている。だからあらゆる流れに流されないようにずっと踏ん張り続けている。それを努力と呼び、社会では高評価ポイントとなるからだ。惰性で生きていると揶揄される風潮は、皆に不自然になりなさいと命令しているようなものだ。けれども、のんびりゆっくり過ごし、うかうかしていると生き馬の目を抜く競争社会ではすぐに落ちこぼれてしまうからだ。ところが、もうどれほど力を入れて踏ん張ったとしてもどうしようもない大きな流れに流されてしまった瞬間に、実は心地よい安堵感が感じられることも知っている。最初は不思議な感じなんだけれども、流されているその瞬間は実はかなり冷静に周囲を見渡すことができるね。
邪魔者
そうやって頑張ってきたら、いつの間にか周囲がすべて邪魔者に見えてきた。どいつもこいつもみんな敵だし、あなたが思うようになんて少しも配慮してもくれず、だからこそあなたは孤軍奮闘するしかなくなった。どうせ相談しても、努力をしなさい、流れに逆らいなさい、人生を切り開くのはあなたの力次第だ、なんてことを決まったように言われるだけだ。もちろん、そうでない人もいたはずなんだけれども、実はあなたからそんな人を捨象してしまっている。あなたも深い納得もなく、実際それしかないと想いこんでいるからだね。優しい言葉なんてかけられること自体が、あなたにとってはもはや不自然で心地よくなくなってしまっている。実はそれこそがこの世の真実を唯一伝えてくれている存在だというのにね。だから、踏ん張るのもほどほどにして、一旦どこまで流されてしまうのか、その流れの大きさと勢いを確かめてみるためにも少し脱力してみるのもいいかもしれないよ。それで少し現状把握と状況分析をし直すと新たな発見があるかもしれないからね。