それが答えだ
正解
あなたはいつも正解を求めている。いや、学校の勉強のように模範解答がない現実社会に放り出されてこの方、正解なんてないと知りつつも、よりベターな答えを求め続けている。それそのものが答えだと言わんばかりに、ずっとよりよい解法をやっぱり探し続けているね。でも実はそれもそれほど重要ではない。正解なんてないということそのものが答えなんだからね。頭ではわかっているつもりでも、やっぱりこうあるべきだという理屈を探して、それを正解だとする癖から逃れられない。どうしてそんなふうになってしまったのかということを悔やんで、あのときはどうするのがベストだったのだろうと反省することが、次の正解を導き出す手かがりになると未だに信じているからだ。いやいや、正解は今そのまま、ありのままがすべてであって、もっと言えばあなたが言う失敗なんていうのも幻想に過ぎない。そう言われたとしても、あなたはやっぱり納得ができないままでいるね。
手品師
答えを隠し持っていて、それを惑わすようにすべて仕組まれている世界でずっと競っていたからそうなっている。今この国で優秀であると認定されている一部の人たちは、答えを知っているかどうかにかかっているからね。クイズにしても問題集にしてもドリルにしても、誰かが作った問いに対する正解を言い当てられてることがすべてだ。でもそれらは、もはや人間よりも機械の方が得意なジャンルとなっている。それにもかかわらずその価値観を捨てようとしても捨てられないのは、やっぱり幼少期から叩き込まれた正解を当てる学習をやり続けてきたせいだろう。もっとたちが悪いのはそうやって刷り込まれたあなたの正義は、間違ったなにかに対して全く寛容ではない。その理由は、おそらく今まであなたもそうやって評価され続けて、悔しい思いをしてきたからだろうね。
問いが答え
そこで、少しばかりの訓練が必要となるね。正解はこの世のどこかにあるという前提を思い込むことだったり、真実は一つしかないと信じ込んでいることから脱却しなければならない。けれども、正解が無数にあったり、真実が星の数ほどあるという世界は、あなたの理解を大きく超えてしまう。だからどうしてもそこから脱却できずにずっとそれらに囚われてしまっている。そんなときは、あなたの正しさの逆をするような荒療治も必要となるかもしれない。それはあなたの正義や真実と真逆になるかもしれない。かといって、傍若無人に振る舞ったり、犯罪一歩手前まで何かをやるという意味ではない。そうではなく、今あなたが目の当たりにしているすべてを少しずつ受け入れていくという練習だね。もちろんどうしても許せないものは後回しにすればいい。けれども、それほど影響のないなんてことのないことを赦せるかどうか。それが実はあなたの唯一の答えなんだよ。