気にしながら気にしない
安全地帯
いつも危機一髪で、どうにも安心して過ごすことができないときがある。だからあなたは普段以上に周囲に目を見張らせている。ああ、危なかった、なんていうこともおそらくは見つかることがあるだろう。まさに無事であることが偶然でしかなく、いつかはあなたもその危機に巻き込まれてしまうのかもしれないと心配になる。そこで、途端にさらに不安は増強され、見るもの聞くものすべてに疑心暗鬼になってしまう。その視点で世界を見つめていると、今までなんとも気にしないで無事だったことが奇跡だったと知るわけだ。だから慎重には慎重を期してあらゆる発言や行動は目立たなぬように、危なくないように、より注意深く行動するようになる。そこでは、あなたの休息の場所はとても少なくなって、とにかく安全地帯を探し回ることになるね。
不安な世界
ようやく安全地帯にたどり着いたとホッとするのもつかの間、そこでも新たな危機がすぐ近くで起こったとする。すると、やっぱりここもダメなのかと落胆しつつ他の場所へ移動するわけだ。とにかく一息つくことができるところはないかと必死になって探し回るわけだね。もちろん、そういう場所だと思っていても気を抜くわけにはいかない。そうであるという確証はすぐには得られないからだ。だから、いつでも逃げ出すことができるように手はずを整えている。あるいは緊急事態になったときに、逃げ出すことができる避難口をいつも確認しつつ過ごすことになる。もはや何を信じて良いのかという概念も薄くなってしまい、心から信じることすら忘れてしまうほどになってしまうね。そうなればこの世はあなたにとっては地獄絵図になる。だって、どこにいようと誰といようと何も信じられないと思い込んでいるからだね。
守られている
でも結局、そんな危なかっしい世界にこれまでもいたのに、あなたの直前ではいろんなことが起きていたものの、あなたはこうして今無事でいる。もちろんそれだからあなたは特別な存在だと言われたところでにわかに信じがたいのは無理もない。ほんの少しのズレが命取りになる状況だからだね。もちろんそんな中でもあなたはなんとかここにいる。多少の困難や災難に巻き込まれてしまったとしても、あなたはその手はずを整え、段取りを立てることで、不思議なことになんとかなっている。とすれば、あなたはそれを信じるしか生きる道はないわけだ。さらに言えば、それほど危機が迫っていないと思って街中を堂々と歩いていたとしても、ほんの少しのところでこれまでは助かっているのだから、もうそうやって生きる以外に道はないとも言える。守られていると過信することなく、でもそれほど気にすることもなく生きているときが、あなたの一番の安全地帯であると言ってもいいかもしれないね。