微分係数
ゆらぎ
あなたの心は常に揺らいでいる。それ故に安定をずっと求めてしまうわけだね。何も変わらずどーんとそこに静止しているさまをずっと思い描いていて、そうなるためにはどうすればいいのだろうとあれこれと行動しているとも言える。しかしながら、この世のすべての観測される物質は、常に振動しているというのが現代の科学が論じている。そう、すべてのものは常に揺らいでいて、静止状態のものはミクロで見れば見るほど存在しないとされている。その中であってもあなたが見つめることによってスナップショットを静止状態だと見ている。それしかあらゆることの真理を切り取ることができないからだ。そうやって常に今ではなく少し前の過去を拠り所にしている。どうやってもそれ以外の方法が見つからないね。
観測者
そうやってあなたは世界の中心にいつもいて、そこからすべてを眺めている。本来ならば何一つ安定的なものはない中でね。だからあなたの心が常に揺らいでいるのは、まさにありのままそのままを感じているということだ。この世の見るものすべてがそうだからね。だからそこに思考を挟むと途端に少しずつズレ始めてしまう。さっきまではこうだったのに、という現象が常に付きまとうのはそういう仕組みなので、実はその不安定さが自然なことであって、あなたが切り取った世界はいつもそうだったという影でしかない。そう思った瞬間にもあなたの心も揺らいでいるし、物事の状態はまたさらに変化し続けている。そこでさらに補正をしようと観測を始めるけれども堂々巡りになって、そこであなたはそこでため息をついている。切り取ろうとしても常に変化しているからそうなるのが真理でもあるわけだ。
解像度
だから、昨日のあなたと今そこにいるあなたは全く安定しないでいいわけだ。あるいは過去の何かに縛られて、身動きできずにいる必要もない。物事はつねに変化し続けているのと同じように、あなたもいつも同じあなたを無理に演じることもないね。そこに違和感を感じてとことん悩んだところで、すべての世の中がそうなんだからある意味コロコロ変わっていることが、ありのままということなんだからね。あなたが決断に迷うときもそうだし、いくつかの選択肢を選べない原因も同じことだ。そこで選んだ行為そのものが真実であり、そこに確かさや正しさを求めるようなものではない。すべてはそうだったという過去のスナップショットに過ぎないのだからね。解像度をあげようとして近似値を出そうともがいているけれども、より近くなるかもしれないけれどもピッタリと合致することがないのは必然だとも言えるね。