何者でもない幸せ

日々

フラット

人生はどちらかに偏るとうまくいかないね。でもあなたはいつも極端なものに魅力を感じ続けている。そこそこの暮らしではつまらないと思ってしまうし、刺激がほどほどの暮らしはすぐに飽きてしまう。だからさらなる強い刺激なり偏りを求めて、あなた自身を揺さぶることが大好きだ。でもそれが実は幸せになりたいという本質からはどんどん離れていく羽目になっている。身の丈に合わない暮らしを求めたり、有り余る富や財産に憧れたり、あってもなくてもいいような名声や評価を求めて四苦八苦している。そうじゃないんだ。何もない、なんてことのない普段の暮らしがそこにあるだけで、実のところとてもとても豊かな人生であり、それは奇跡とも言えるぐらい幸せな日々なんだけれども、天邪鬼なあなたはそれでは満足できないね。だから有り余る余裕や、持ちきれない富や財産があることをずっと追いかけて命をすり減らしている。

無味無臭

空気に匂いがあっては飽きてしまうし、水に味があるとずっと飲み続けると嫌になる。空気みたいな存在はあなたにとっては耐えられないそれであり、どちらかというと刺激がある方がいいと思いこんでいる。でもそれが変幻自在でいいわけで、強力なスパイスは個性的だけれども、登場する場面はぐっと減ってしまう。ここというときにそれはとても際立つけれども、普段からずっとその刺激は強すぎて扱いに困るわけだ。あらゆることに対応でき、何色にでも染まることができる強かさこそが、まさに多様性であり毎日でも飽きない強力な魅力だね。でも残念なことに、無色透明みたいな存在をあなたは望まない。誰よりも有名になりたいし、誰よりも優れた地位にいたいと願ってやまない。たとえそれが実現できたとしても結果はもうすでに見えている。ある特定の場面でチヤホヤされることがあっても、そうでない状況では疎まれる存在となってさらなる悩みが増えるだけだ。

本末転倒

なんてことのない日常がいかに貴重であり、それこそがあなたが求める本質であるわけだね。なのにいつもああいう人になりたいと思うそれらは個性がより強調されているからこそあなたはずっとそこに惹かれている。それぞれの役割があるけれども、そうやって単機能化してしまうと、それこそ特定の状況でしか発揮できなくなる。なのであなたはその有利な状況にずっと身を置かないといけなくなって、今度はそれに全エネルギーを注がなければならなくなってしまう。そうなれば、もはや幸せとは言えなくなってしまうのは目に見えているね。得たものは誰かに盗られないようにしなければならなくなるし、希少性を高めれば高めるほど、周りからの嫉妬や批判に対応しなければならない。これまではなんてことのない存在であったというのにね。だから、そのまま無理をせず背伸びをせず、等身大でいられる平凡な存在でつつがなく過ごせてたことを懐かしく思い返すことになってしまうだろう。本末転倒とはまさにそういうことだね。