覚醒

日々

夢のまた夢

昨日のことは、今日のあなたにとっては記憶でしかない。あんなに忙しかったのに今は静かに過ごしている。そして、もうそんなつらいことは懲り懲りだと思い返している。まるでそれは夢のような話だね。そう、あなたはいつも夢の中にいて、そうやって思っていることもまた明日になればあなたの想像とは違う明日が訪れる。現実と夢は違うなんてまことしやかに言ってくる人もいるけれども、どう考えてもその境界線は曖昧でしかなく、まるで夢のような毎日だね。良いことがある日はなんてついているんだと小躍りするし、思っていた以上に難しかったり、辛かったりするとなんてついてない日だと嘆いたりする。そんな毎日をこれまで送ってきたわけだ。ところがそんな夢も時間が経てばすっかり思い出せなくなって、ぼんやりとした不正確であいまいな記憶となって残るだけのことだね。

過去に縛られる

そうやって、懲り懲りした経験は苦い思い出として、うまく言った経験は良い思い出としてなんとなく蓄積された総体があなたの過去になる。だから、得意なことには積極的になるし、不得意なことはできれば避けたいと思うようになる。それで今のあなたはどうやってそれらをコントロールするべきかと思案に明け暮れている。ところが思考はいつまでたっても思考のままであり、いい意味ですべからく裏切ってくれるわけだ。だから思い通りにならないことにイライラし続けることになる。ところが、それすらも夢の中の出来事だとしたらどうだろう。あなたはまだ一度も覚醒したこともなく、ずっと夢のなかでああでもない、こうでもないと言っているだけになるね。そして、夢の中でこれは夢だと看破することができたとするならば、なんだ、これもまた夢の続きなのかと少しだけ笑うことができる。

目醒め

夢から覚めたと思っている現実も、実は夢の続きだとすれば、深刻に悩んだり苦しんだりすることもない。逆にそうであるならば、できれば楽しい夢を見ていたいと思うだろう。ところが夢の中なのであなたにはそれを選ぶことが難しいわけだ。なら諦めてそのまま続きを見ていればいいだけだね。夢の中の夢の世界の行く末をただあなたは何もせずに見ているだけなんだから。なるほどそう来るかと感嘆するだけだし、ストーリーの展開について評論家のように批判していればいいし、夢の世界にすっかり没入して感動してもいい。それを楽しむだけでいいし、何かのせいにすることも、そうしてもいいしそうしなくてもいい。とにかく眼の前で映し出されるそれらが、そもそも制御不可能であれば、そのまま座ってじっと観ることがあなたにできる唯一のことだ。ならいつ目覚めるのかという疑問があるだろう。それはそれが夢の中で夢だと見破ったときが真の目覚めと言っていいね。