楽しんだもの勝ち
呼吸
息を吸ったり吐いたりを生まれてこの方ずっとしている。いや、もっと正確に表現すれば、普段はそれを意識することはほとんどないね。息苦しくなったり、何かのきっかけでむせたりすると呼吸していることに改めて気付かされるだけだ。もちろん水中に潜ったり、寝返りをうったりしたときに呼吸を整えようとしている。いろんなことをやり続けることが苦手なあなたも、自身の肉体に目を向ければずっとやり続けていることばかりだね。単純な動作だけれどもそのおかげであなたの生命が維持されている。そう考えるとあなたが意識するようなことにはほとんど意味はなく、あなたが知らず知らずに続けていることこそが生きることそのものであるわけだ。だから、あなたがいつも一喜一憂している何かを目指してやり続けようとしても、うまく行かないことなんて取るに足らないことだと言ってもいい。
楽しみのための挑戦
そうだからといって、なら思い立ったが吉日で何かを新たにやり始めることなんて無駄だと言いたいわけではないよ。なんとなくひらめいてやってみようというきっかけも、呼吸しているんだという気づきもとても重要だ。そこにたまたま目がいったという事実は、そのまま受け止めればいいね。とにかく理屈は後で良くて、なんとなくでもやってみたいと思ったことは屁理屈で言い訳を考える暇があったら、まずは挑戦すればいい。その行動のきっかけもまた人生を楽しむことに他ならないのだからね。それで、多くの場合はこれだと思った衝動も次第に小さくなっていき、ついには日常の中に消えてしまうわけだけれども、それは先の呼吸と同じことだとも言える。すなわち、意識的にやろうとしてやったことが、もう必要もないぐらいに馴染んだということでもある。心配しなくてもいいのは、それでもあなたはまたやってみたいという衝動が必ず繰り返しやってくるのだからね。
愛おしい無駄遣い
そんな回り道ばかりして、人生を無駄遣いしているなんて言う人がいる。それは、あなたを羨ましいと思っているからそんな嫌味を言わずにはいられないわけだ。だから、安心してありがとうと答えればいいね。無駄のない人生はせっかくの楽しみを我慢ばかりしてさぞかし苦しい日々を耐え忍んでいることだろうね。呼吸で例えれば、無駄な呼吸をできるだけ少なくしてかえって呼吸にとらわれてしまっているようなものだ。何かを排除しようとすればするほど、ますますそればかりになってしまうのと似ている現象だね。できるだけそれらは無意識の中にしまい込んで、あなたは存分に、こんなことやってどうなるの、ということをやってみることをおすすめするよ。だって、それをやることができるためにあなたは今そこにいるわけだし、いまそこにいるという感覚も実はあってないようなものなんだからね。ともに幻想の中にあなたがいるのならば、楽しんだもの勝ちだとも言えるね。