ゆりかごの正体
また明日
今日という日もまた終りを迎える。そして明日はきっと良い日になるとかすかな夢を見て、あなたは眠りにつくだろう。その瞬間に色々あった今日という日の出来事を振り返っている。毎日とびきり良いこともなければ、無事で過ごして夜を迎えているという事実から、最悪な日でもなかったね。いわばあなたが思う特に変わり映えのしない普通の日が終わりを迎えているわけだ。そうこうしているうちに眠くなってあなたは早々に眠りにつくわけだけれども、それも安心してそうできることが至上の喜びでもあるね。なぜなら今日の出来事を思い悩んで、眠れない夜も経験しているからだ。ときにはそんな日もあるけれども、次の日にはぐっすりと眠ることができることも知っている。いずれにせよ、眠れないような日々は永遠には続かない。総じて幸せだからこそ、安心して終わりを迎えていることが多いね。
ハレの日
とっても良いことがあった日も同じようになる。興奮してなかなか眠りにつけないときは、同じように眠れない日であってもあなたはそれを気に病むこともないね。良いことがあなたを震わせて、その余韻を存分に楽しんでいる。それもまたいずれは過去の記憶に変わって過ぎ去っていくわけだ。同じように不安で眠れない日々も例外なく、そうなっていくことも体験済みだね。今振り返るとそれもこれもひっくるめて生きているという喜びに収斂している。何もなくて期待外れの日々がほとんどかもしれない。でもその期待もまた、やがて大きく変化していくわけだ。かつて焦がれたそれらも今となってはいい思い出だし、良いも悪いもすべては過去となって消えていくには違いない。だからこそ、今この瞬間を楽しむことが永遠に触れていることを知ることができるね。
プラスマイナスゼロ
そう、あなたはそうやって良い日も悪い日も味わい尽くして生きている。そして生きることが終わればそれらはすべて無に帰する。すなわち元通りになるわけだ。元通りとは、何もない状態だし、ゼロ地点に戻ることだ。そもそもゼロであるあなたは、今はプラスやマイナスを行ったり来たりしている。そのゆらぎの中で安心できるのは、それを知っているからだね。これまでずっと幸せに包まれていたという不思議な感覚は、その真実に触れているからであり、そこがそもそもあなたのふるさとのようなものだからだね。振り子のように揺れているのは、それほど長くはない。けれども、やがて静止したとしても振り子はそこにある。そしてそれはまたわずかに揺れ動き出すことも知っている。大きく揺らぐときもあるけれども、やがて小さな揺れに収まっていく。今にあるのはそこにあるということだけであって、その状態はたまたまでしかないわけだね。