快走
ワインディングロード
曲がりくねった道をあなたはいつも快走している。もちろん、同じ坂を登るにはもっと近道があるだろう。けれども、適度に右へ左へ曲がることで、少し緩やかな坂道をスイスイと駆け上がっている。もっと早く山の頂にたどり着く道があるのではないかと思うかもしれない。それでも少し遠回りすることで、心地よい曲がり道と時折視界がひらける瞬間の気持ちよさをまさに堪能している。もうそれで十分だし、それがいいわけだ。誰かに何かを言われてちょっと気になることもあるかもしれない。遠回りになっていることを知りつつも、それでいいのも十分に納得している状態だね。ここで一番に思っていることは、同じ目的地に到着するにも、あなたにとっての心地よさを一番大切にしているからだね。少し時間はかかるかもしれないけれども、それ自体が愛おしく感じられているはずだから、それ以上の何かを求める必要もないことを知っている。
結果と過程
結果に到達するために、現代では最短距離が望ましいとされている。あなたもその時代の潮流に置いてけぼりにならないように極力無駄を排除しようともがいているわけだ。けれども、その道を選ぶかどうかはあなたが舵を切る。そうしてもいいし、そうしなくてもいい。もっと言えばいつかは必ず目的地に到達するのであれば、それほど急がなくても、つらく思わなくても、その道程を楽しんでもいいわけだ。単なる選択なんだけれども、わざわざつらい選択をする必要もない。少し遠回りになったとしても、そこまで快適に楽しめるのならば多少の時間と距離を使ったとしてもそれがすべてだとも言える。いつも時間に追われて、あくせくして余裕がなく、ましてやその過程を楽しめない時間を過ごすよりも、過程そのものを楽しめるとすれば、人生に豊かな時間がそこに流れるわけだ。結果がすべての時代において、結果より過程がすべてだといってもいい選択となる。
経験
心地よいワインディングロードを走り続ける経験は、それをしなかった人にとっては共有できないだろう。逆にそんな無駄なことをしてもったいないことだと揶揄されることもあるだろう。でも、そうしなかった人にはあなたの心地よさは決してわからない。目的地までをどう走るのかは、あなたが決めることであって誰かのために決めることではないね。いつも遠回りして道草をしているのかもしれないけれども、その道草で起こった奇跡の数々は、どれだけ語ってもそれを知らない人には伝えようがないからね。あなただけの道中がそこにある。そしてそれは誰にも盗られないし、時間の無駄になってはいない。あなたの余白として、ほんの少しの特別な時間として、あなたの宝物になっているはずだからね。一番大切なものの尻尾をそこであなたは掴んでいるはずだ。最短でもなく、楽ちんでもなく、あなたにとってはかけがえのない時間を過ごしているのだからね。