起死回生のため
天に向かって唾を吐く
現代の日本は大きな闇を抱えてしまっているようだね。物価は為替レートによって高騰する一方で、賃金は相変わらずそれと比例して上昇しない状況に陥ってしまっている。いわゆるスタグフレーションと呼ばれる状況の真っ只中だ。それもこれも、労働力に溢れた時代を引きずって、代わりはいくらでもいるというマインドセットから抜け出せないまま、世界情勢が大きく転換したことによるものだね。本来ならばそういう状況は予測できたのだから、もっと前からそれに向けて準備すればよかっただけのことなんだ。けれども、時代の変化とマインドセットの転換にズレが生じてしまった。だから必然とも言える状況になってから、大慌てしているわけだ。大きな社会的な問題に限らず、あなたの身近な日々の心向きも同じことが言えるね。不安定さを嫌って安定ばかりを求めると、仮にそれがうまくいったとしても今度はその安定を維持するために、やっぱりずっと不安に苛まれているのと同じことだね。
不安の解消
そんな状況だから、そういった不安定な状況を打破するために、やっぱり安定を強く求めている。けれども、実はそれは決して安定をもたらすものではないのは明白なことだ。なぜなら、安定とは不安が消滅した状況を指すものではなく、実は不安を不安として安定と共存しバランスが保たれている状態を指すものだからだ。要するにあなたが不安定さにエネルギーを注がなくても、それと安定をうまくバランスさせる状況が一番安定している。それにはもちろん安定と言っても低空飛行なのか、もっと高度に安定するかの違いがあるにせよ、不安を不安として受け入れてあまりそれを気にしすぎてはいない、均衡状態がそれだからね。なのに、不安定がまるで悪いことだと世の中から一掃しなければならないと思うことで、絶妙なバランスを失って負の循環に陥ってしまっているわけだ。
調和
良いことばかりに注目するあまりに、そうではないことがかえって際立ってしまうのと同じように、不安定さばかりに気を取られてしまうとせっかくの安定をも失ってしまう。ちょうどいいバランスを取るためには、安定ばかりに注目するのは得策ではないことがわかるだろう。あえてその不安定さをそのまま受け入れることで、ちょうどいいバランスを取ることが大切なんだ。そんな調和をどう取るのかといえば、もうおわかりのように不安定さを真正面から受け止めることが一番大切だね。もちろんそれだけでもうまく行かないのは言うまでもない。大体調和が取れているときに不安定さがなくなることはなく、ちょうどいい塩梅のところにいるはずだ。だからどちらかに肩入れしているのは、自らその均衡を崩しにかかっているのと同じだね。だからバランスが分かれば、極端な対策はどんなによく思えても避けるべきだとわかるだろう。