何食べてるの?

バイク旅

なにそれおいしいの?

世間には想像を絶するぐらいにおいしい食べ物があるってね。テレビでも雑誌でも連日賑わう美味しい店や料理が取り上げられている。旅をしていてそんな料理に出会えるチャンスが巡り巡ってきたら、そりゃもう、行く前からわくわくがとまらないよね。今まで経験したことがないぐらいに美味しい食べ物が食べられるんだから。美味しいものを食べているときはとても幸せだね。そこに理由はいらない。ただただ美味しい、生きてて最高ってなるはず。普段には滅多に出会えない食材や料理っていうだけで、よだれが出てくるね。さぁ、これがこれまで恋焦がれた、待ちに待った美味しい料理か。そのときの興奮は最高潮になるね。

おお、これかー、いよいよ食す時がきた。では、いただきまーす。ぱくっと一口。ん?なんとなく思ってた味とは違うな。まぁ、食材は間違いなく新鮮だし、とっても旨味は感じるし、決してまずくはないし美味しいのは美味しいけれど、なんだかちょっと思ってたんと違うかな。食べる前にあれほどわくてかしてたんだけど、想像を絶する旨さと呼ぶほどでもない。なんでだろうか。俺の舌が狂っているのかな。でも、この連日の賑わいと行列を見るに、美味しいはずなんだけど。

実はさっき食べた

実はさっき屋台で売っていたのも食べた。特にそれはテレビや雑誌に載っているものではなかった。特に期待もしてなかったし、今夜の美味しい店のためにちょうど控えていたのもあって、特に気にもとめずにのんびりと普段通りにベンチに腰掛けて海を見ながら食べた。今夜はとても美味しい料理が食べられるんだな。思えばここまで遠くにきたもんだと考えながら。プラスチックトレーに無造作に置かれた焼いただけのもの。海の香りがした。普通に美味しかったな。そういえば。

美味しいという情報

まぁ、人それぞれに好き嫌いとか、味の好みとかいろいろあって当然だろうね。嫌いなものをいくら美味しいからと勧められても、食指は動かない。人は食べるためにいろんな活動をしているね。まぁ食べないと生きていけないっていう理由もあるけれど、今はかなり豊かな時代。普段は仕事やらなんやらで忙しくて、毎回食べるものに無頓着になっている。腹を満たすだけの手軽に手に入るものですましている。だからこそ、たまの贅沢として、時には遠出もして名物と呼ばれるものを食す旅にでたりする。それをグルメツアーとか言って大人気なんだってね。ここまできた甲斐があったなんて満足して、またその贅沢のために、普段食べているものを節約したりしている。でもふと、なんだかちょっと滑稽に見えたんだ。本当は、いつも何を食べているんだろう。生きるための食ではなくて、なんだか違うものを食べているような。そんなことにちょっと気づいた。これもまた旅の一興なんだろうね。たぶん。だから味はなんとなくでしか覚えてないんだよ。