あなたという幻影
出来事
出来事があなたを成長させている。あなたが良いことばかりに包まれているのではなく、ときに嫌なことが起こるのも必要だからそうなっている。嫌なことは、あなたが受け入れがたいなにかではあるものの、それはどうしてそう思うのかを問われているわけだ。そしてその根本的な要因に気づくように、それらは途切れることなくあなたの前に出現している。もちろんそればかりに注目してしまうあまりに、その他のことに気がつかなくなることもあるだろう。けれども、そうやって常に問いを投げかけられていて、それもずっと続くようであるならば一度立ち止まってよく考えてみるものいいね。苦手だとか嫌だという思いは、あなたが勘違いしているなにかがそこに含まれている可能性が高いからね。それも一度だけではなく、幾度もそんな思いをしているのならば、おそらくはあなたが本当のことに気がついていないからそうなっているかもしれない。
マジシャン
それを紐解いていくうちに、あなたはいろんな気づきをそこから得ることが多い。そうやって何かのカタチにとらわれている枠組みが少しずつ組み替えられていくわけだね。思い返せば幼い頃にどうしても克服できなかったことが今ではなんてことのない出来事に変わっていることを見つけることができるだろう。当時のあなたはそれが大問題だったわけだけれども、今のあなたには取るに足らないことになっている。それを思い出して懐かしくも愛おしい思い出として今はそこにあるだろう。でもあの頃はそうではなかったはずだね。もう苦しくて辛い状況の中で、一体どうすればいいのかと頭がいっぱいだったね。そんな絶望の淵から今はずいぶんと遠ざかっている。今のあなたから見える景色は、当時の景色とはずいぶんと変わってしまった。またあの頃に戻ろうと思っても、もはや戻ることすらできないほどにね。
チェンジ
それをあなたは何かが変わったせいだとか、少しばかり大人になってずるくなったからだとか、いろんな要因をそこに見出すことができる。でも、それもこれもあたっているようで本質ではない。状況が揃えばまた同じように感じるかもしれないし、今の問題も実は過去と同じように、思い出として変化しつつあるかもしれない。とにかく、少しずつあなたという幻によって生み出されていることだけは共通していることに気づくだろう。なんとなくあなたは、今のあなたという不変な何かを根拠としているけれども、振り返ってみれば首尾一貫したあなたなんてどこにもいないね。どんどん変化しているし、今だってそうだ。昨日のあなたと今日のあなたは全く違う存在なんだけれども、それを大急ぎで上書きして今のあなたを出現させているだけなんだ。それを少しやめて別人としてのあなたになれば、新たな問いに対する気づきをすぐに得ることができる。昨日までのあなたを脱ぎ捨て続けてみると、あなたの世界はがらりと変わるのはそのせいだね。