天国でもストレス
人類の夢
人類はこれまで貧困と飢餓との戦いの歴史から脱却して、比較的平和でモノがあふれるようになった。もちろん未だに平和とは言えない国もあるけれども、空からミサイルや爆弾が常に降ってくる危機感を持って生活している人は圧倒的に少なくなった。少なくともこの国では、政治がだらしない状態であっても、裏金の問題で辟易していても、逆に言えばそれぐらいのお金を裏に回しても大丈夫なぐらいだということだね。そんな世の中であなたの悩みは、数ある食事の中でももっと美味しいものをたくさん食べつつも、もっとスリムになりたいとさらにお金を使って痩せたいと思っていることだね。よく考えてみれば不思議なことで、そのためにはもっと欲しいと思っているお金を支払ってでも運動をするためにジムの会員になったりしている。
ストレス
なぜそうなるのかといえば、理想と現実のギャップに常に悩まされているからだ。一度上昇した生活水準を下げることはできないと言われているのは、時代に合わせて満足する度合いがどんどん上昇してきたからだ。もはや明日食うや食わずの生活水準まで戻ることはできない。すなわち生活水準が上がるにつれて、あなたの期待も高度になる。このいたちごっこで、どれほど現実が豊かな社会になったとしても、それ以上の期待をあなたが生み出すことでその差分がストレスとなるわけだ。これではいつまで経ってもあなたが十分に満たされることはない。いくら努力して豊かな生活を手に入れたとしても、あなたの理想はどんどんそれを上回るものへと肥大化しているのだからね。だから、ストレスを軽減するには、現実を良くするということだけでは達成できず、理想と期待を控えることが大切となるわけだ。
幸せの基準
だから、現実の豊かさを手にすることよりも、あなたの期待の妄想を打ち消すことが一番幸せになることができる方法だ。手にする地位や名誉や財産がいくらあったとしても、それ以上にあなたの期待の成長が大きければその魅力は半減してしまう。そうではなく、その期待値をうまくコントロールすることで、理想と現実のギャップが少なくなるわけだ。考えてみればあなたは常に向上しているはずだし、どんどんいろんな意味で経験をし、それらが知見として積み上がっているはずだ。確実に人生のマイルが溜まっているとも言いかえることができる。それなのにあなたはそのことに気づかず、誰かに吹き込まれた理想という幻をどんどん膨らませてしまっている。その結果、過去の人類が羨むほどの天国のような世界で生きているにもかかわらず、悩み多き人生となっているだけなんだよ。