条件分岐の中のあなた
終わり始まり
何かが終わるとき、これまでのことを振り返ったりする。そしてやり残したことが見つかって、もっとこうしたらどうなっただろうと思いを馳せる。そして、もし次もその機会があるのならば、その反省を活かしてもっと良い体験をしようと心に誓うわけだ。それはもはや、終わると同時にまだ見ぬ未来のなにかが始めっているともいえるわけだ。だから終わったことばかりにフォーカスするのではなく、その物語の続きをすでに始めているとも言える。もちろん、学校とかであれば卒業して、そこでの体験はもう二度とすることができないことも多いだろう。それでも、社会に出て活躍する場に出たり、次の学校へ進学したりするこの瞬間に、すでに何かが始まっていることは間違いないね。終わることばかりに注目する癖があるのは、失うことへの特別な感情がそのバイアスを強化しているだけだとも言える。
パラレルワールド
もしあのときそうしていなかったら、今のあなたはどうなったのだろう。この世には多くの選択肢によるパラレルワールドがあるとされている。たまたまあなたがお昼にラーメンを食べたわけだけれども、その直前までうどんかそばか、牛丼かカレーかで迷っていたね。となると、それのいずれかを食べたあなたがその組み合わせと同じくいたわけだ。それらの可能性は夢の実現とか理想の追求という意味での困難さと堅苦しさはなく、おそらくあなたはそれらのうちどれでも選ぶことが易易とできたはずだね。その結果、たまたま選んだものを食べたわけだ。もし違うものを選んだときのあなたも同時に存在していたとも言える。その視点でいえば、あなたには複数のそうなる予定だったシーンがそこに展開されていたわけだね。でも、それらを同時に叶えることができない。そんな何を食べるかという日常の選択であっても、それ以外の場合を見ることができないね。
一つだけ
そう、シンプルに選択肢という可能性がそこにあっても、同時には見ることができないようになっている。ゲームのキャラを選んだ瞬間に、違うキャラの設定はすでにプログラム内にすべて書かれているわけだけれども、それ以外のキャラも出現してしまうと、ゲーム設定が狂ってしまっていわゆるバグとなるわけだ。一つを選んだならば、それ以外は存在はしているけれども出現しない設定になっている。まさにそれは現実の人生と同じだということもできるね。もちろんゲームではセーブポイントまで戻って違うキャラを選び直して遊ぶことができるわけだけれども、それと同時に元のキャラは出現しなくなるわけだ。それをあなたとなぞらえて考えて見ると、結局のところ選択肢という実在があったとしても、それを選んだ時点で一つしかなくなるようなあなたは、確固たる存在としてどこにいるわけでもないということだ。ということは、あなたはやっぱりどこにもいない疑惑が強くなってしまうね。