無視できない虫
虫の知らせ
昔から、なんとなく嫌な予感というか、不穏な空気を感じることを虫になぞらえて虫の知らせとか言ったりする。これはどういうことかと科学的に説明しようにも、非合理的でかつ非論理的な事象なので解明とか証明は難しいみたいで、これほど科学技術が発達した現代でさえ、オカルトのように扱われているね。第六感的な勘であったり、オーラだったりするメタファーはあるものの、どうしてそれがそんなふうに感じるのかは未だ謎のままだ。虫は身近な動物であるがゆえにこの国では、虫という言葉を使った比喩表現がたくさんあるね。虫の息とか虫が好かないとかがその代表だ。もちろんそれらがそのままどうにかなるというたぐいのものではない。むしろそういうふうに古来の人々がなんとなく感じていたそれは、今も迷信だと断定されずに残っているわけだ。
違和感
おそらく仮説としては、大いなる意識潮流のようなものがあって、それを感じているにもかかわらず、その流れから逸脱する特異な事柄が現れることがある。それを本能的に察知することで、虫の知らせはほとんどの場合、吉報ではなく、強いて言えば訃報や失敗など、うまくいかないことを予知するスキルでもある。なんとなく、それはやってはいけないとか、ぼんやりとやるべきことだけを見つめているのも、虫の知らせを察知できる能力が備わっているからに過ぎないわけだ。その特別なスキルは特に自慢されることもなく、おそらくはどんな人にも備わっている標準装備の一つだと考えられるね。なんとなく嫌な予感がしたり、今はこれをやめておいた方が得策ではないかとなんの裏打ちも根拠もなく、おそらくはこれまでの過去の経験からそう考えてるだけだ。
時空
そう、あなたはあなた自身なんの取り柄もない存在だと思いこんでいるだろう。けれどもそれは大いなる間違いだということに気がつくわけだ。根拠のない自信を持ったり、根拠がわからないけれども今じゃないということだったり、それらを本能的に察知することができるわだけ。そんな一瞬先もわからないと思い込んでいるけれども、実はそういう危険予知のちからは万人に備わっているはずだ。それをあまりに発動しないから、スキルがあってもどう使うかをすっかり忘れてしまっていることが多い。そしてそんなことよりも、あなたは何が何でも成功させるために命を削っているわけだ。それ自体がすべて悪いというつもりはないけれども、それらを再検証できるスキルも今後の激動の世を生きる術でもあるわけだ。そしてそれはなんとなくこっちじゃないかな、なんて得体のしれない感覚だけで判断するのは、おそらくはどの組織でも最重要関門だとも言える。