ゲームの中のあなた

日々

殺伐とした世界

もうあなたの周りには虎視眈々とあなたをやっつける存在が無数に存在していると感じている。弱みを見せたらすぐに足元を救われてしまうような競争社会において、あなたは必死にそうならないように対策と行動を常に思案しているわけだ。まさにサバイバルの世界を歩んできているわけだけれども、なんとかそれらをクリアして今こうして自宅の一室でくつろいでいる。ああ、今日の仕事も辛かった。もっと強くなれる方法があるのかを考えつつ、明日への英気を養っている。そうやって人生の悲喜こもごもを感じつつ過ごしていることこそが、実はあなたが無敵であり最強かつ幸せな状況の真っ只中にいるんだけれども、あなたはそれすら気がつかないままで、次の戦いの場所へいかなければならない。もうこんな生活がずっと続くのかと錯覚してしまい、なんとか安寧の地を求めて僅かな娯楽に身を委ねるようになっている。

次の角を曲がったら

何が起こるかわからない世を生きているから、あなたの思ったとおりに宿敵がどんどん現れては消えていくんだ。次の角を曲がったら、絶対敵が潜んでいると確信しつつその道を進んでいる。ほら見たことか、とそういう状況に出くわすわけだ。それをなんとかやっつけて、次の場所へまた移動する。まるでそんなゲームの主人公のようにね。ちょっとつかれたからセーブポイントでセーブしつつ、今日はここまでと電源を落とす。その後はどうだろう。あなたはとにかく眠りにつくわけだ。それは人生のセーブポイントだとも言えるね。明日また人生というゲームが再開することを信じているけれども、稀にそれまでのデータが壊れたり失われたりもする。そうするとまた最初から始めなければならない。でも以前の記録というか記憶がなくなってしまっているから、同じことを何度も繰り返すことになる。あなたは何を過去だと思っているのかは、そのセーブポイントに依存しているのと同じだね。

はじめから

実はそうやっていつもはじめから毎日を繰り返している。人生というゲームがそこに無限に続くように感じるけれども、一方でいずれそれは終わりを迎えることも肌で感じている。次々に敵が現れるけれども、必ず消えていくことからそれを類推しているわけだね。かつての敵が今では仲間になっていたり、その逆もあった。そうやってわちゃわちゃしている中で、それらもいっときのことでしかないことも気づいていく。つらい仕事をようやく終えて、好きなゲームに夢中になってストレスを解消しているとき、まさにその場があなたが求めてやまない安心の場所でもあったとね。かつてなんの心配もなく、なんの不安もなく、毎日が冒険活劇のような時代を思い出すように、あなたは今でもそうやってなにかに夢中になっているとき、一番の幸せな時間を過ごしている。それがストレスの解消のためであろうと、現実から目をそらすためであっても、あなたはいつでも幸せになれるわけだ。ほら、あなたはずっと幸せの中にしかいなかったということになるね。