遠回りの人生
そこから
今あなたの部屋の窓には、何が見えるだろうか。外の景色を見ながら、あなたは自らの半生を振り返ってみるといいだろう。いろんなことがあった。そしてそれなりに苦労してきたこともあるだろう。でも、今はそうしたことも乗り越えて、静かに窓辺に座っている。人生それほど良いこともなかったけれども、かといって悪いことも乗り越えてこられた。そして今は静かに窓の外の景色を眺めている。これ以上の幸せはどこにもないね。急な雨風にも守られているし、それほど豪華な部屋ではないにしても座るべき椅子もあるし、机もある。もちろん欲を言えばもっと座り心地の良い椅子であればもっといいだろうし、使いやすい広さの机がほしいと思うかもしれない。でも、あなたはすでに守られてここにいるわけだ。もちろん、まだ見ぬ未来は不安ばかりだろうけれども、今はこうして窓の外を眺められている。それ以上何を望むのだろう。
明日の風
もちろん、そうやってくつろいで過ごしているけれども、明日になればそれがそのまま続くとは考えにくいかもしれない。けれども、それはどれだけ思考を巡らせてみても不確定なパラメーターが多すぎるがあまりに結論は出ない。それよりも、今ここでそうしていられることに注目をしたほうがいいだろう。このままずっとゆったりと過ごすことができれば良いなんて思っているかもしれない。けれども、それが叶ったところであなたはまた新たな不満とか不安を生み出すことは間違いないね。平穏無事が一番だと思いつつも、冒険心も持ち合わせているからだ。刺激的な毎日は望んでいないとしても、全く刺激がない毎日はつまらないと感じてしまう。ちょうどいいバランスで、それほど苦労しなくても穏やかでかつ刺激的な人生を望んでいる。ところがそのバランスは現実的には存在し得ないものだね。そういう状況になればあなたは自然にそれに適応する能力をすでに兼ね備えているわけだからだ。
不安と不満
それこそ、もっと刺激的な人生をと願ったところで、それが叶ったとしても辛いだろうし、一方で穏やかで何も起こらず波風立たない人生も耐えられないわけだ。だからそこそこの不安と不満があるということは、実はあなたが思うバランスにかなり近い状況であるとも言えるね。そもそも人生なんて、あなたしか知らない世界であるにもかかわらず不安は不満を併せ持って生きている事自体が奇跡に近いわけだからね。もし、あなたに夢も希望も不安も不満もない人生を歩んでいるとすれば、おそらく別の意味で生きている実感は失われてしまうだろう。つまらない毎日だとか、くそったれの人生だとか、そんなふうに思えるからこそこの世を謳歌している証拠でもある。だから、今あなたはとても幸せの真っ只中にいるのは間違いないようだ。だからこそ、そのままの人生を生きていればいいわけだ。不安も不満も夢も希望も併せ持つことが生きる実感となってあなたを喜ばせているのだからね。