あなただけの前と後ろ

日々

後ろ向き全力疾走

あなたは人生が好転するには、前向きに行動し続けることが必要だと思っている。それはおそらく自然界の運動法則に人生をなぞらえてそう思い込んでいるのだろう。けれどもそれは本当に人生の本質かと問われたならばすぐに答えに窮するだろう。なんとなくそう思っているに過ぎないわけで、別に前向きだとか後ろ向きだとかそういう方向というかベクトルさえも、あなたが勝手に決めつけているだけでしかない。さらに言えばそうやって動き続けないと何かを得られないと思っているのもそうだ。あなたは今歯がゆい思いの中、何も変えられない状態、すなわち静止状態のままでなんとかしなければと思っている。けれども大局的に見れば地球という宇宙船に乗っていて、じっとしていても地球の自転によって昼夜が変化するわけだし、気がつけば公転によって季節が勝手に巡り巡っている。あなたはこれまで一瞬たりとも静止することはできなかったわけだし、あなたが前向きに行動し続けないと幸福を手にすることができないなんていうのは、見る視点によっては絵空事に過ぎないわけだ。

たくさんあれば良い

良いことがたくさんあるとあなたは小躍りしながら、なんてラッキーな日だと喜んでいる。逆にうまくいかないことがたくさんあると、なんてついていない不幸な日なんだと嘆いている。それらはすべてあなたが測った量で規定されている。お金なんかが一番わかりやすいモノサシだね。たくさんあればあるほど邪魔にならないとか思っていて、お金はできればもう抱えきれないほどあれば夢心地な人生が送れるのではないかと思いこんでいる。一方で、やりたいことのためのお金が不足し続けていると、お金がないことを嘆き悲しむことになる。あるいは、人気や有名や恋愛なんかもそうだ。たくさんの人にチヤホヤされるとあなたは有頂天になると思い込んでいるし、それが幸せだと信じてやまない。ところが、そうであるはずの有名人が不幸になっているニュースを目の当たりにして、実はそういう愛されるというのは数や量ではないということを知らされたとしても、あなたはにわかにそれをスルーし続けているのは不思議なことだね。

必要なもの

本来どれもこれもあなたの幸せとはなんら関係がないものばかりを願っているわけだ。だからどうやってもあなたは幸せの本質を見抜くことができないままでいる。勘違いした幸せを追い求めて、叶わないことを嘆いているわけだ。数が多ければ幸せだという概念は本来のあなたが感じている得も知れない愛とは全く別の次元のものだね。まずはその誤解を解くことから始めないと、決してあなたは幸せにはなれないのは自明のことだ。あるいは前向きとか後ろ向きとかそのベクトルもおかしな話で、それは単に運動理論からそう思っているだけのことで、本来どっちが前か後ろかも規定することすら困難なはずだ。あなたがこっちが前だと言い張っているだけで、本当はそれが前かどうかなんて誰も説明することすらできない。とにかくこれらからわかることは、すべてはあなたの思い込みで決まるわけだし、逆あなたがそれらから脱却できたならば、激動な人生から少し離れて眺めることができるね。それができればおそらくはそこにはただただ静寂しかないだろう。