人として生まれたなら

日々

揺れ動く

振り子は常に揺れている。けれどもよく観察すると静止している箇所がある。そう、その静止状態にいずれなることを揺れ動きながら示唆しているわけだ。あなたは無意識のうちに呼吸をしている。息を吸って、吐き出しているわけだけれども、その間にそのどちらでもない瞬間が必ずある。やがて呼吸を止めたとき、それは大きく息を吐きだして終了する。もはや吸うこともなくなるわけだ。ということはやっぱり呼吸もいずれ止まることを示唆している。あなたが良いとか悪いとか常に物事を判断している。けれどもそれに当てはまらないものもたくさんある。でも良いことも悪いこともなくなれば、あなたはその判定をすることはなくなるわけだ。揺れ動き振動していることで、あなたは命を繋いでいる。あなたが静止したとき、あなたは今生を終えるわけだ。しかもそれは100%起きる未来でもある。

不安

まだ見ぬ未来のことにとらわれて、あなたはいつもうまくいくかどうか心配している。けれどもその悩みの中で大きく欠落しているのは、それすらもどうなるかもわからないことだ。そもそも明日がくるかどうかもわからない。思っていた日時にあなたがそこにいる確率もわからない。けれども、そんなことすら無視してあなたはより良くなるための施策をあれこれと考えている。明日のことすらわからない状況の中で、あなたの注目のトピックスは明日のプレゼンがうまくいくかどうかなんていうことに占拠されているわけだ。よく考えてみればおかしな話で、明日のプレゼンは天候不良によって延期になるかもしれないし、重役が体調不良で明日開催できないかもしれない。そんなどうなるかわらないことに命を削っている。けれども、あなたは今生を必ず終えてその先はどうなるかわからないことに関しては無関心でいられるわけだ。

分離

あなたは自然の一部でしかない。だから、眼の前の小さな虫でも路傍に生える草花もみんなあなたの一部でもある。それなのに、それらには目もくれず、逆に言えば虫なんていうのは忌まわしい存在と認識しているわけだ。あなたはあなたを特別だと思っているからそうなるわけだ。だから、必ずやってくる来世には興味もなく、明日の些末なことで悩み苦しんでいる。人に好かれたいとか、有能に見られたいとか、お金持ちになりたいとか、そんなことで命を削っていることすら気がつかないままだ。いやいや、もっと優先順位が高いものがあるだろうと指摘されても、いまいちピンとこない。そうしてそのまま今生を必ず終える時期がやってくる。生まれて良かったと思える人生であることを噛みしめることができたなら、あなたは今生をやりきったとも言っていいだろう。けれども、そこでやり残した宿題に気がついたときには、もうすでに時遅しとなって後悔だけを残して来世に旅立っていくだろう。そうならないために今できることはなんだろうね。